34.奇跡の再会 ページ36
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トスン、と間の抜けた衝撃に恐る恐る目を開けた。
山姥切さんと目が合った。
地面を転がったような感触があった。恐らくは私を受け止めながら、山姥切さんは転がって衝撃を分散したのだろう。そして呆然としたままの私を支えるように抱き留めてくれていた。
「……もっと安全な場所にしておけばよかった」
山姥切さんは深く溜息を吐きながら私を抱き起す。
すると周りにいた刀剣男士達が一斉に山姥切さんに飛びついた。
「兄弟!!」
「よかった……っ山姥切さんが戻ってきた……!」
山姥切さんに飛びつく男の子達や、わあわあと泣く少年達に、喜びを噛み締める青年達を私は少し離れた場所で見ていた。
何度か命を狙われた場面があったけれど諦めないで良かったと私は心からそう思う。死んだと思った人が生き返ったら誰だって嬉しい筈だ。
すると加州さんが私の頭を撫でて来た。
「あの御守りが役に立ったね」
『あの御守りってなんだったんですか?』
「本来は刀剣男士に持たせて刀が折れることを防ぐ物だけどアンタは規格外だから御守りを持っていなかった山姥切を蘇生することが出来たのかもね」
『(規格外……)』
規格外な審神者って何、と思っていると山姥切さんが私の元に歩み寄って来た。想像以上の美形に私は灰になってしまうんじゃないかと思った。
そして何故か私を挟んで加州さんと目を合わせる山姥切さん。美形に挟まれるなんて居た堪れなさすぎやしないでしょうか。逆に怖いです。
「俺がいない間守ってくれていたのか」
「まーね。俺の他にも動いてくれた奴もいたし」
「そうか……」
すると山姥切さんは私に目を向ける。
「俺とは初めましてか?」
『は、はい!初めまして山姥切さん!』
「初めまして二代目の主。俺は山姥切国広。こんな写しを命を賭けてまで直してくれたことを感謝している」
『え、えへへ……』
感謝されるとなんだかくすぐったいけど助けて良かったと思えるし、こんな時審神者の力を持っていて良かったと思う。
「……審神者」
そんな時、三日月さんが私の目の前に現れた。
『な、なんでしょうか……』
「お主の全てを聞きたい」
『え?』
「話をさせてくれないだろうか」
そう言って頭を深く下げる三日月さん。
私はどうしたものかと加州さんの方を見れば背中を押される。どうやら強制イベントらしい。
『……わかりました』
私は前髪を直した。
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ぬっこ(プロフ) - 胸から刀を出すと言う表現がとても素敵です。続き楽しみにしてます(^-^) (2020年1月15日 21時) (レス) id: da10b377d5 (このIDを非表示/違反報告)
冬雪(プロフ) - 紫鶯さん» ありがとうございます。続きをお楽しみください。 (2019年5月16日 20時) (レス) id: 13dcdbbff5 (このIDを非表示/違反報告)
紫鶯 - とっても面白かったです! (2019年5月16日 13時) (携帯から) (レス) id: 46e1741f78 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:冬雪 | 作成日時:2019年4月29日 9時