32.山姥切国広の帰還 ページ34
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『三日月さんは審神者に何をしてもらいたかったんですか』
「俺は……」
すると三日月さんは静かに涙を流した。
最初に不思議がった三日月さんはポロポロと流れていた涙は次第にボロボロと止め処もなく流れていくのを私は黙って見ながら静かに三日月さんのもとに歩み寄っていく。
「騙されるでない三日月!」
突然聞こえた声に振り向くと長い白髪の男の人が下からひとっ飛びで屋根に登ってきた。
「……小狐丸」
「そんな巫山戯た言葉を使う人の子など斬ってしまえばいい」
鞘から刀を取り出す小狐丸さんから後退ると視界の端で三日月さんが握っている山姥切さんの刃先が見えた。
『三日月さんお願いします!その刃先をください!山姥切さんに返さないといけないんです!』
「……そうはいかん。もう二度と仲間を失ってたまるか」
『山姥切さんは生きているのにですか!?』
「……何?」
「いい加減なことを言うでない審神者!!」
すると小狐丸さんが私に刀を振り上げる。
刹那、山姥切さんが私の手から抜け出して小狐丸の刀を防ぐ。
「!!」
『山姥切さん!』
「……まさか、本当に」
小狐丸さんの刀を先から根元まで流し通し振り上げられ小狐丸さんの刀は宙を舞い地面へと刺さった。
_____御守りは持ってるな
『え』
ポケットを探ると納屋で見つけた御守りが入っていて、どうやら箱の中にしまい忘れていたらしい。
_____それを使うぞ
『え、でもこれ誰かのじゃ……』
_____知らん
『ええええぇぇぇぇ……』
脱力しそうになると御守りが光を纏うと山姥切さんの方へと動くと三日月さんが持っていた刃先も山姥切さんの元に戻っていき、見たことないくらいの強い光が溢れ出す。
一瞬、目を瞑る
そして次に目を開けた時、目を奪われるような光景が広がっていた。御守りの中からは桜が溢れ出し山姥切さんを囲むと折れた部分が繋がっていく。
人の形になっていく。眩しい程の金色の髪が、吸い込まれるような翡翠色の瞳が、綺麗で、凄く綺麗で泣いてしまいそうな程に美しかった。
『……山姥切、さん?』
「……うっ」
『山姥切さん!』
人の形となった山姥切さんはバランスを崩し屋根の上から落ちそうになってしまう。
私は山姥切さんの腕を掴んで引っ張るが私の力では山姥切さんを支えることが出来ず、そのまま屋根の上から落ちていく。
真っ逆さまに落ちていく
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ぬっこ(プロフ) - 胸から刀を出すと言う表現がとても素敵です。続き楽しみにしてます(^-^) (2020年1月15日 21時) (レス) id: da10b377d5 (このIDを非表示/違反報告)
冬雪(プロフ) - 紫鶯さん» ありがとうございます。続きをお楽しみください。 (2019年5月16日 20時) (レス) id: 13dcdbbff5 (このIDを非表示/違反報告)
紫鶯 - とっても面白かったです! (2019年5月16日 13時) (携帯から) (レス) id: 46e1741f78 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:冬雪 | 作成日時:2019年4月29日 9時