30.鬼ごっこ 其ノ参 ページ32
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「ここが鍛刀場だよ」
『(……埃臭い)』
ここもか、と思い鼻をつまむ。廊下や庭、部屋などはしっかり掃除されているのに加州さんに案内されながら気づいたけど掃除しない部屋が極端に分かれていることがわかった。
政府の人に��鍛刀��と��刀装��の部屋はこまめに掃除するようにとは言われていたけど、何故この場は掃除されないで放っておかれているのだろう。
「……ここに来るのも久し振り」
『え……でも鍛刀場ってたしか刀剣男士を顕現する場所では』
「そうだけど……もう新しい刀はいらないから」
『なんで？』
「だってここには折れた刀剣男士達の残骸しかないから」
暗くてよく見えなかった場所がやっと見えた。乱雑に散らばった残骸は私が持っている山姥切さんより酷く細かくされていてもうなんの刀なのかわからないくらいだった。
床にも散らばっており所々に血の跡のようなものが見える。
『……っ』
「さっきも言ったよね？三人目の審神者は山姥切さんを折って資材にしちゃったって。山姥切さんの前にもっと沢山の刀が折れたり折られたりした。そのたんびに資材にされた。この中にボクの兄弟もいる」
『……そんな、ことって』
「でもそれは無意味なんだよ」
『……そうなの？』
「だって刀を資材にするんだよ？しかもいろんな刀で。そしたら人の形を保たないも愚か異形なものが顕現するに決まっているのに……あの審神者は聞く耳を持たなかった」
私の前にいる乱ちゃんは下を向いて拳を強く握りしめていた。
「山姥切さんはその異形のものを倒して瀕死になって折られて死んじゃったんだ」
『……三人目の人は恩を仇で返したんですね』
「そうだよ。どうしようもなく愚かだった。だから殺した。僕は目を刺した」
「信じてたのに」と零した乱ちゃんに何も言えないでいると突然こちらに振り向く乱ちゃんは私の手を握った。
「でもさっきボク嬉しかったんだ」
『え？』
「主さん、声が聞こえるって言ってたでしょ？それきっと山姥切さんの声だよ。きっとまだ山姥切さんは生きていて主さんにしか聞こえないのは主さんが審神者で前の主さんの孫だから」
『……そうなんだ』
「山姥切さんが戻って来ればみんなも落ち着く筈。生きているって知ればこの合戦も終わる筈。ボクはもうみんなが泣く姿も人間を信じられない姿も見たくないよ」
そう言った乱ちゃんの目は涙で滲んでいた。
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ぬっこ(プロフ) - 胸から刀を出すと言う表現がとても素敵です。続き楽しみにしてます(^-^) (2020年1月15日 21時) (
レス) id: da10b377d5 (このIDを非表示/違反報告)
冬雪(プロフ) - 紫鶯さん» ありがとうございます。続きをお楽しみください。 (2019年5月16日 20時) (レス) id: 13dcdbbff5 (このIDを非表示/違反報告)
紫鶯 - とっても面白かったです！ (2019年5月16日 13時) (携帯から) (レス) id: 46e1741f78 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：冬雪
| 作成日時：2019年4月29日 9時
