29.鬼ごっこ 其ノ弐 ページ31
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「鍛刀場？」
『はい』
「鍛刀場になんかあるの？」
『わ、わかりません……』
粟田口の部屋を抜けて来た私達は物音一つしない廊下を慎重に歩きながら��鍛刀場��に向かう。
少しでも隠せるようにと薬研くんが着ていた白衣を頭から被された私は乱ちゃんに手を引かれながら次またいつ聞こえるかわからない声を待っていた。
「しかしなんでまた鍛刀場なんだ？」
『……わからないけど、声がそう言ったから』
「声？」
『この刀から声が聞こえたんだ。鍛刀場に行けって言われた』
「……大将それは」
薬研くんが何かを言おうとした刹那、視線を感じ、振り向くとそこにいたのは青髪の小さな男の子で。今でも人を殺しそうな目つきで私を睨んでいた。
「小夜！」
「……復讐」
『え……』
「復讐してやる……！」
小夜という男の子が私に刀を振り上げる。私は反射神経を駆使して避けるが刃先が頬に当たりビックリして頬を触れば手に血が付いていた。
「主さん！」
『私は、大丈夫……』
「小夜、お前一振りだけじゃねぇだろ。他の兄弟は何処だ」
「……宗三兄様と江雪兄様は、今はいない」
「なんだ」
「でも、長谷部ならいる」
すると反対側の廊下からもの凄い速さで刀を構えて走ってくる男の人が私の前に迫ってくるが薬研くんがその前に私の前に出て男の人の刀を自分の刀で受け止めた。
その隙を狙って小夜くんが私に刀を振り上げる。
『＿＿＿＿＿＿＿やめて！！』
また手に力が入り防ぐために手を前に出せば手から光が溢れ小夜くんが吹き飛ばされ庭にある木に身体を打つ。
『……あ、』
「小夜！！人間よくも……っ！！」
「長谷部の旦那、一旦落ち着けって。小夜はやられちまったが大将が治してくれるさ」
「人間に頼れというのか？審神者に忠誠を誓うというのか？俺の主は過去も今も未来も彼の方だけだ」
「俺達には新しい主が必要なんだ。旦那のその腕を治せるのも大将だけだ。そしたらまた旦那は戦えることが出来るのに何故それがわからない！」
長谷部という男の人の腕を見ると無残な程に左腕がなくなっていて巻いている包帯も血が滲んでいて腕が震える。
「乱！大将を連れて行きな！」
「薬研は！？」
「長谷部の旦那を片付けてから駆けつける！」
「わかった！主さん、行こう！」
また乱ちゃんに腕を引かれる。
長谷部さんの腕も小夜くんも気になるけど今は鍛刀場に行かないといけなかった。
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ぬっこ(プロフ) - 胸から刀を出すと言う表現がとても素敵です。続き楽しみにしてます(^-^) (2020年1月15日 21時) (
レス) id: da10b377d5 (このIDを非表示/違反報告)
冬雪(プロフ) - 紫鶯さん» ありがとうございます。続きをお楽しみください。 (2019年5月16日 20時) (レス) id: 13dcdbbff5 (このIDを非表示/違反報告)
紫鶯 - とっても面白かったです！ (2019年5月16日 13時) (携帯から) (レス) id: 46e1741f78 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：冬雪
| 作成日時：2019年4月29日 9時
