ONE Hero's【一撃男】短編

サイタマ/※怪人(？)主 ページ6

『おい、サイタマ!!』

「なんだよ、今日もか？」


今日も怪人として活動をしているAと買い物の帰りに出くわした。

見た目はどう見ても怪人ではなくただの一般女性であるが、本人は怪人だと主張しているらしい


最初こいつにあった時は変な奴だと思ってあんまり相手にしていなかったが、知り合ってもう2年も経つと慣れてくる


彼女がそう断固として怪人活動をしているのは深い訳がありそうだが、あまり追求してはいない
そしてなぜ俺の前に怪人として現れるのかも――


「お前も飽きないよなー。怪人なんかやめて普通に働けよ」


『じゃあ私も言うけどサイタマも趣味でヒーローやってないでちゃんと働いたら？』


「...うるさい」


そう言ってAの額に軽くデコピンする。


『いっ...!!』


「あ、ごめん。ちょっと力入れ過ぎたかも」


少しむかついて力加減を間違えたのか彼女は座り込んで悶絶している


大丈夫か、と俺もしゃがんでAの手を退かし額を見るとやはり少し赤くなっていた


『サイタマのバカ、ハゲ!!馬鹿力なんだからちゃんと手加減してよ』


「怪人やっててそれを言うかよ。それとハゲって言うな」


若干涙目になっているAの手をひいて立たせてやる



「で、今日はなんの嫌がらせだ？」


『嫌がらせじゃない、怪人としての活動だよ!!』


「はいはい」


『しかも今日は借りたもの返しにきただけだし...』


「おい、サイタマなんて喧嘩腰でくるから嫌がらせ... じゃなくて、また怪人活動しにきたかと思った」


『それはいつもの癖で... もうその話はいいから、この前の漫画。はい』


「おお」


怪人のくせに借りたものはちゃんと返すんだなとか思ったが口には出さない


「なあ今日一緒に飯食わねえ？」


『え、いいの？』


趣味でヒーロー活動をしている俺と同様、怪人活動をしているこいつも欠金なのはよく理解している

だから時々飯を誘ったり誘われたりはよくあることだ


怪人とヒーローではあるがそれとは関係なく、
俺達は結構仲の良い間柄なのかもしれない


――――――

「お前ほんとに怪人やめる気ないの？」


『もちろんそのつもりだけど。』


「怪人やめてくれたら嫁に貰いたいんだけどだめ？」


『は？何言ってんの、変態！ハゲ！』


「だからハゲって言うのやめろ！」

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