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「へえ、なんで入ろうと思ったの?」
「なんとなく、どこかに所属すべきなのかと思って。せっかく中学生になったならって」
(うーん)
梅野は、どうにも主体性が薄いのではと思う。なんとなく、と彼が言うのを何度も聞いた。
(俺にこんな事を言う権利は全くないが、梅野は本気でもないのに女の子と付き合って、あっさりと振っている。俺に対してもたいして考えずに、なんとなくで「好き」と言ったんじゃないか?)
今まで幾度か考えたことのある不安が、徐々に襲ってきた。
(でも、なんとなくで二年間ずっと好きでいてくれたっていうのは、変か)
「カメラとか持ってたの?」
「兄さんのお下がりなら」
「え、お兄さんの?」
「そう。あの人、写真を撮るのが上手いんだよ」
「へえ、意外」
「おちゃらけて見えるけど、そういう方面のセンスはあるみたい。絵とかもたまに描いているし…だからAの絵も見たがったんじゃないかな。本人は絵が描けないって言ってたけど、あれ嘘だよ」
「あー…そういうことか。悪いことしたかも」
「見せてあげるだけなら、別に良かったんじゃないの?」
「あのな。こっちのスケッチブックには、梅野しか描いてないんだよ。そんなん見せられるかって」
「…そっちしか、持ってきてないんだ」
梅野は少し赤くなった。今日持ってきた青い表紙のスケッチブックは、梅野以外のものはほぼ描いていない。そんなものを見せれば、あの兄なら小一時間はからかわれるだろう。
「ていうか、風景画メインってのも、ちょっと嘘でしょ。今は」
「そうだけど…なんだよ。自分ばっか描かれるの嫌なのかよ」
「嬉しいよ」
「じゃあいいだろ」
「うん」
「ってことで、もう一枚描かせてくれ」
「ん」
梅野はマシュマロを一つつまんでから、指をぺろと舐めてから言った。
「せっかくこんなにお菓子があるんならさ、これと一緒に僕を描いてみてよ」



随分メルヘンな絵になってしまった。
チョコレートを口に運ぶ梅野。キャンディーを散らしたベッドに寝転がる梅野。マシュマロやグミとそのかわいらしいパッケージに囲まれて笑う梅野など。計、六枚ほど。
「うーん、なんだか新しいね」と、梅野。
「確かにいつもとは違うが」
(…ちょっと少女みたいなんだが)
梅野ははしゃいだように言った。
「こういうの、楽しいなあ。いろんなシチュエーションで描いてもらうの」
「ああ。それは俺も楽しかった。いつかは、海とか花とかをバックに描いてみたいと思ってたんだ」

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天泣tenkyu(プロフ) - 読みやすい わかりやすい 面白い 、の三拍子ですね!笑めちゃくちゃ読むの楽しくて一気に全部読んでしまいましたぁ…… (2018年10月11日 20時) (レス) id: daeb79a243 (このIDを非表示/違反報告)
ミオ(金欠)(プロフ) - 面白かったです。お疲れさまでした! (2018年2月26日 5時) (レス) id: f13eb61b67 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき - 面白いのに、勿体無いと思います。 (2018年1月21日 11時) (レス) id: 581099bb6b (このIDを非表示/違反報告)
ゆき - 読みづらい。 (2018年1月21日 11時) (レス) id: 581099bb6b (このIDを非表示/違反報告)
小梅 - めっっっちゃおもろいです!!二人が再会できて良かったです!!更新頑張ってください!!q(^-^q) (2017年12月27日 17時) (携帯から) (レス) id: 76f089da6a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ぺぺこ | 作成日時:2017年10月30日 0時

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