*似合ってる ページ23
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「おはようございます、阿伏兎さん。
本当に来てくれて……嬉しいです。」
「俺の方こそ、わざわざ出迎えてくれるなんて、思ってなかったぜ」
「たまたま……なんです。おばさんに、片栗粉と1.5リットルの水を、4本を買ってきてって言われちゃったので、今から行くところなんです。」
「そうか。
一緒に行ってやろうか?」
「いやいやいや、そんなご迷惑かけられませんよ。
今日の日差しだって、夜兎族にとっては厳しいと思いますし……」
さすが、夜兎族の知人がいることもあってか、気を利かせてくれるAちゃん。
でも、今の俺には、少しでも長くいたい……そんな気持ちだった。
「いや、これぐらい平気だ。」
「……じゃあ、お言葉に甘えて、お願いします」
彼女と俺は、近くのスーパーへと向かう間、1つ気付いたことがあった。
「付けてくれてるのかい?それ」
そう。
Aちゃんの髪の毛には、昨日俺が渡した、ガラス細工で出来た髪ゴムが付けられていた。
彼女も、可愛くはにかんだ。
「私好みのデザインで……気に入っちゃいました。」
「そうか、そりゃあよかった。
似合ってるぜ、それ」
俺が正直にいうと、ポッと顔に赤みがさして、顔を逸らした彼女は、話を変えるように言った。
「……暑くないですか?額に汗が浮かんでますけど……」
「大丈夫だ。気にするな」
「……あの、使ってください。私、いつも2枚持ち歩いてるんで」
スーパーに着くなり、日陰に入ってから彼女は薄紫色のハンカチを取り出し、背を伸ばして汗を脱ぐってくれたのはいいものを、ふらついたのか、身体が後ろに倒れるところを慌てて腕を掴んで引き寄せると、そのまま俺の胸元に。
「大丈夫か?」
「……大丈夫、です……」
下を覗き込むと、真っ赤な顔をした彼女がいて、つられて俺も少し照れた。
「ごめんなさい……少し、ふらついてしまって……
中、入りましょうか。」
慌てて俺から離れると、ハンカチを渡してから先に入っていった。
「やべぇな、こりゃ」
手元にあるハンカチを見つめると、深く長いため息を吐くと、頭をかいて続くように中に入った。
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rikohuku0428(プロフ) - 続きのパスワードが知りたいです!面白いのでぜひお願いします! (2020年11月23日 0時) (レス) id: 4dacac16ea (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:どこかのムスメ | 作成日時:2018年8月23日 12時