*夜兎族 ページ5
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傷だらけのまま、外に放置しておくと何を言われるか分からないと思った私は、申し訳なく思いながら、気を失っているその人を、引きずって部屋の中まで運ぶと、明かりを付けた。
「……男、だよね」
再確認したところで、どうしようかと悩む私。
とりあえず、起こしてあげようと肩を揺するも、服が所々破けて、傷を負ったその人を手当する方が先だと考え、救急箱を持ってきては、マントを脱がせ、洋服を脱がせたと義手を外した。
「一体……どこで、こんな怪我を負ってくるんでしょうかねぇ……しかも、左腕、義手だし。」
そこら中に付いている切り傷やら、どこかに蹴られたのか、赤く腫れ上がった跡等、治療しながら呟いた。
まず、お湯の入った容器にタオルをつけて、泥だらけの身体を拭いてから、乾いたタオルで水滴を拭う。
その後に、消毒をしてガーゼをしき包帯を巻く。
胴体部分の包帯を巻き終えると、喘息の発作が少し現れ、深呼吸をして収まるなり、はて……と動きを止めた。
「洋服は……どうしたらいいんだろうか」
あいにく、家には兄が泊まりに来た時の服しかなく、当然この人の体型では着れるわけがない。というか、私の知り合いでこの体型の人……
「……いた」
「すみません……近藤さん、こんな夜更けに……」
「いやぁ〜、急に呼び出されて、なんだと思ったけど……
Aちゃんの頼みなら、全然大丈夫だよ」
「ありがとうございます、助かりました……
これ、洗って明日、お返ししますね」
「そんな急を要してないし、いつでもいいよ。それより、傷の手当てとか……何をしでかすか分からないから、気をつけるんだよ。
んじゃあ、見回りがあるから、俺はこれで」
「はい!本当にありがとうございました。お気をつけて!」
パトカーが見えなくなると、ふぅ……と息をついて、家の中に入った。
「にしても、良かった、借りれて。」
この人の体型と少し似ているのが、真選組の局長 近藤さんだと思い出し、一晩だけ着物を貸してもらった。
布団で寝かせたその人に、借りたばかりの着物を着替えさせると、時計に目をやった。
「……こんな時間……お腹すいたけど太るしなぁ……
ま、いっか、今日ぐらい」
いつもなら、18時に食べてるご飯も、この日だけはその時間を過ぎて、夕食を取り、いつも寝ている寝室ではなく、居間に布団を敷いて床に着いた。
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rikohuku0428(プロフ) - 続きのパスワードが知りたいです!面白いのでぜひお願いします! (2020年11月23日 0時) (レス) id: 4dacac16ea (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:どこかのムスメ | 作成日時:2018年8月23日 12時