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チーフの家に、高輪先生が来るらしいんだけどその前に私たちの元に入った出動命令に、私は2人と別れて病院へと戻る。
救命のドアを潜ると、江東区から運ばれてくる患者の為に、ベットを用意したりと準備をしていた。
『夏海、何床開けられた?』
「小規模との事だったので、10床は確保済みですが、中規模に変わった時のために、もう5床は開けられると思います」
『よし、じゃあ、開けてくれる?』
「はい」
『それで……搬送されてくる人たちの中には、トリアージが途中で変わる人もいるはず。』
「治療に対応できる準備も進めます」
『ん、よろしくね』
私の指示なんてなくても、テキパキと動いてくれる夏海は、出動してる私の代わりをちゃんと務めてくれてる。
頼りになるけど、これ以上頼るのも良くないよなぁって、手袋をはめようとした時、この慌ただしい空気に似合わない人が入ってきた。
「A先生」
『……あれ、高輪先生。珍しいですね、どうされたんです?』
「少し話があって」
今いい?そう言って、外に来てって目線で誘われるから、この場は夏海に任せて私は先生を追いかける。
「ごめんね、忙しい時に」
『大丈夫、優秀な医師が頑張ってくれてるから。
それで?話ってなんですか?』
「……比奈先生のこと」
『弦巻ちゃん?』
「ほら、もうすぐ研修期間も終わるし、MERに残るのか循環器に来てくれるのか、判断しないといけない大事な時期でしょ?」
『ああ……そっか、もうそんな時期か』
「ねぇ、どう思う?比奈先生の事を、MERで見てきたでしょ?」
話ってなんだと思ったから、チーフの事かなって思ったのに、弦巻ちゃんの今後が気になるみたいで、困ったような顔で、壁に背をつけてる。
『んー……まぁ、まだまだ荒はあるし、目が離せない時もあるけど…でも、MERとチーフと、相性はいいと思う』
「そっか………そうなんだ」
『…分かるよ、高輪先生、複雑だよね』
「え、」
『弦巻ちゃんを、自分がいる循環器に置いて才能を伸ばしてあげたい。
だけど、MERで活躍してる彼女の事も認めてるから、何が弦巻ちゃんにとっての正解なのか、迷ってるんでしょ?』
誰よりも近くで見てきたから尚更、って続けて高輪先生の顔を見れば、図星だったのか深いため息をついて笑みを浮かべた。
「A先生なら、どうする?」
『んー……』
どこか期待する眼差しを向けてくる高輪先生に、少し考えてから口を開く。
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作者名:どこかのムスメ | 作成日時:2023年4月16日 22時