＊ ＊ ページ18
.
部活が早く終わって、バイトがある菊池と別れた私は、伊藤先輩と一緒に喫茶店を訪れていた。
先輩達がよく来ていたというそこは、レモンスカッシュがおすすめらしくて、今回も入るなりレスカ4つって頼んでた。
『4つ？』
「あぁ、もうすぐ来ると思う。駒ちゃん、他になにか食いたいのあったら頼みなよ。」
『えっ、あ、ありがとうございます……』
受け取ったそれを開けば、美味しそうなものばかりで色々目移りしていると、先輩が待っていた人が来たのかドアのベルが小さく響いた。
「よーっ、トゲトゲ山」
「ちょっと、三ちゃん！お店の中なんだから、大声出さないで」
『さ、三ちゃん先輩に、理子ちゃん先輩？！』
「あっ、Aちゃん！久しぶりねっ、卒業式ぶりかしら？」
『お久しぶりです！！理子ちゃん先輩、すっっごくお綺麗です！』
夫婦みたいなやり取りをして、私たちの前に来たのは伊藤先輩と同級生で、今年卒業した先輩方。
ちょっと試しにと思って、合気道を習いに言った先で理子ちゃん先輩と出会ってから、芋づる式に金髪先輩とも顔見知りになった。
実は、伊藤先輩と知り合ったのもこの道場のおかげだったり。
「なんじゃい、駒娘。相変わらずのチビは健在か」
『金髪先輩、酷い！これでも、去年と比べて3cm伸びたんですよ！』
「そうよ、酷いわ三ちゃん。女の子にチビなんて。」
「へんっ、駒娘は一生チビじゃ！」
「三ちゃん！！」
「…なんか、ごめんね、駒ちゃん」
『いえっ！三ちゃん先輩が、こんな人だって事は十分理解しているので！』
申し訳なさそうに、伊藤先輩が謝ってくるから、私が気にしないでって伝えると、また店内に小さな音が響いて、反射的にその方に視線を向けると、そこにいたのは……
『音羽くん！』
「……っ…」
『あっ、待って……』
制服姿の音羽くんで、私のことを見るなりメガネ越しに目を見開いたと思ったら、目立つ頭の先輩を見るなり足早に、店内から立ち去った。
どんどん遠くなっていく後ろ姿に、再度ソファに座り直せば、理子ちゃん先輩は不思議そうに運ばれてきたレモンスカッシュを飲みながら首を傾げた。
「今の人、知ってる人？」
『…隣の席の、音羽くんです。』
「音羽…？……あぁ、ガリ勉くんって呼ばれてた奴？」
『えっ、伊藤先輩、知ってるんですか？』
知らないと思っていたのに先輩の言葉で、あの子？って理解する理子ちゃん先輩達に、今度は私が首を傾げた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 189人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
マナ - 作品を参考してよろしいですか？ (2022年1月24日 18時) (
レス) id: d0a320b2d2 (このIDを非表示/違反報告)
空うさぎ(プロフ) - 駒ノ音〜Another〜作って下さりありがとうございますっ…ずっと2人の出会いが気になっていたので嬉しいです！更新楽しみにしてます՞⸝⸝ > ̫ < ⸝⸝՞ (2021年10月4日 19時) (レス) id: a700536b31 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：どこかのムスメ | 作成日時：2021年10月4日 17時
