☆ よんじゅうく ページ4
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あなたside
PCFのオーディション会場。
有難いことに監督方のゴリ押しで、既に本作の主人公として決まっている私は、八代拓真役のオーディション室にいた。
というのも、今回の配役を決めるにあたりタダでさえ、緊張している参加者達を私がいる事で、更なる緊張を与えそれに、どう立ち向かうか。を見たいらしい。……監督、まさかのS?
今は、その他の重要な役のオーディション中。貰った資料を見ただけに、新人たちからベテラン、大御所と名を連ねていて、改めてこの作品は今までのアニメの歴史を塗り替えようとしているのだと、伝わる。
「…あ、Dがいる」
他の配役に目をくれず、ただ八代拓真の1本で挑む小野のDくんに思わず笑った。
よっぽど、この役に惹かれたのかなぁ……。顔写真付きの履歴書を一撫でして、ページを捲れば見知った顔が現れる。
「お、かみやだ。ふふっ、安定だねぇ本当に」
彼は大丈夫だろうな。と、思いまた捲れば次から次へと戦友たちが出てくる。……え、意外。石田さんがいる。
「へぇ〜、石田さん居るんだ」
「うわっ……有馬ちゃん、どうしたの」
「いや、これ。さすがにこの時間、腹減ったろ」
「え、空いた……ドーナッツ……それも新商品……」
「下にあったから、買ってきた。」
横に座り、私の大好物の会社のドーナッツを机に置いた有馬ちゃん。さすが、私のマネだわ、お腹のすき具合と完璧。
「そういや、オーディション、押してんの?」
ポン・○・リングを食べながら、有馬ちゃんを見れば険しい顔で頷いた。おや、その顔は相当悪いのか?
「機材トラブルで、急遽映像なしでやることになったらしくて。詰まってると」
「うわー、まじか」
「だから、時間によってはここから出なきゃなんねぇ」
「あ、こっちも押してる?」
「あともう少しで?本当は残ってたいが…生憎どれも人を待たせるからな」
この後は、テレビ雑誌のインタビューに人気の歌い手さんが楽曲提供してくれた曲の録り…だっけ。
確かに、どちらも人様に迷惑がかかる。
「厳しい……ね」
2つ目のドーナッツを、黙々と食べていれば慌ただしくスタッフが入ってきた。
「柳澤さん、お待たせしてしまい申し訳ありません!!この後なのですが、先に八代拓真のオーディションを行うことになりました!」
「……あれ?終わったの?」
「いえ、まだなんですが……急遽変更で」
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作者名:V-GIRL | 作成日時:2019年10月21日 10時