陸 ページ7
その声に、皆が上を見上げる。
立っているのは、第七位始祖であるフェリド・バートリー。
やっぱりこれは、罠…！？
「そうそう、その顔。希望が突然消え去る時の人間の顔…♪だからこの遊び、やめられないんだよね〜」
かさ、と音を立ててミカ兄様が地図を落とす。
「あ、遊びって、…まさか…罠…」
優兄様が言い終わる前に。
ひゅお、と真横を風が駆け抜けていって。
「あれー…一気に吸ったら、死んじゃった」
後ろで、僕の弟が一人殺された。
「くっ…そおおおおおおお！！」
パァン、と銃声がなる。
優兄様がフェリドに向かって銃を放ったんだ。
「だめだ優ちゃん！この距離じゃあ、あのバケモノには当たらない！！」
ミカ兄様の悲鳴のような声。
「あれぇ…それ、僕の銃とナイフじゃない。地図だけじゃなく、武器も盗ったのか」
手を伸ばせば届く距離に、アイツが立っている。
「Aっ！」
アカネ姉様が悲鳴を上げた。
「いいねぇ、君ら…まだ抵抗できるんだ。じゃあもう一つ希望をあげよう。実はその地図、本物なんだ。だから君たちの後ろのその道をまっすぐ走れば、外の世界に出られる。その希望と絶望の狭間で…君らはどんな声で鳴くのかな？」
面白がるような声色。
ああ…もう駄目だ。
僕らが何をしても、コイツにとっては赤子の抵抗と同じ。
「…！に…逃げろ…みんな、走れ！逃げるんだ！出口まで！早く！！っ走れ！」
家族が皆、走っていく。
僕には、何ができる？
コイツを引き止めるために、何が…。
「っく、くそぉっ！ミカ！俺たちでフェリドを足止めして、Aを助けよう！皆が逃げ切れるまで時間を稼ぐぞ！！」
優兄様、ダメだ。
「ぅ…」
コイツはきっと…。
「言っただろ？僕は、君たちの絶望した顔が見たいんだよ」
僕の家族。
大事な僕の仲間の血液が飛び散って、舞って。
「あ……や、やめろおおお！」
ミカ兄様が泣き叫ぶ。
「は、ひゅ、」
息がうまく吸えない。
目の端に、三つ編みが見えた。
「アカネ姉様…ねえさまぁあっ！」
「あ…」
ザシュ、と嫌な音がして、鮮血が散った。
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