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二つの世界を繋ぐ門。


状況が良く分からないままついて来てしまった。


「…っと緊張してみたはいいけどよ…あっさり門に着いちゃったぞ?マジでここ出口なのか?」


優兄様が僕の手を握りながら言う。


「うん…地図によるとそうなるね。てかまあ、吸血鬼も人間が逃げるなんて思ってなかったんだろーねぇ。外はウイルスだらけだ、って言うし」


ミカ兄様が笑った。


「でも近すぎだろ」


「家畜小屋は隙間だらけなのに、家畜が逃げないのと同じ。…馬鹿にされてたんだ」


「でも俺らは逃げる。な、A!」


「…逃げる…」


信じられない。


もう血を取られることも、残飯みたいな粗末なご飯を食べることもない。


自由、なんだ。


…ここにいる、僕の家族は皆。


吸血鬼に「飼われる」ことなく、生きていけるんだ。


…本当に?


「家畜じゃないからねぇ。なんせ僕、天才なんで」


「僕も天才!」


「僕も!」


ミカ兄様の言葉に、弟たちが声をあげて笑う。


「あはは、じゃあ百夜孤児院の僕らはみーんな天才ってことで!カッコ優ちゃん除く、カッコ閉じ」


「カッコ閉じじゃねぇよっ!」


何かがおかしい。


こんなに上手く行くものなのかな。


吸血鬼は人間より五感が鋭い、とどこかで読んだ記憶がある。


皆が決して小さいとは言えない声で話しているのに、なぜ誰も来ないんだ。


僕のそんな考えを置いて、皆は扉に駆け寄っていく。


上からカツン、と音が聞こえた。


「あはぁ〜…待ってたよ?哀れな子羊君たち」

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作者名:死雷夢 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2023年10月20日 11時

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