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誰の目もつかないところで泣いて、気がついたら眠っていたみたいだ。


ふらつく足で立ち上がり、部屋に向かう。


もう皆は居て、でもミカ兄様は見当たらなかった。


…フェリド、だっけ。あの吸血鬼のとこにいるのかな。


…血を取られて、痛い思いしてるのかな。


思わず両手を握りしめる。


「今日、カレーだって!」


「あ?カレー?」


「なんかね、ミカが裏のルートってやつで見つけて来てくれたらしくて」


そんな会話が耳に入る。


気持ちが悪い。


お腹も空かないし、アカネ姉様に一言かけて先に布団に入った。


布団…と呼ぶには、少し粗末なんだろうけど。


目を閉じる。


寝るのは好きだ。


何も考えなくて良い。


何も感じなくて良い。


ふわふわと柔らかな世界に浮かんでいられる。


ただ、優しい夢に囚われたままでいられる。


かちゃ、と扉が開く音が聞こえた。


ミカ兄様が帰ってきたのだろうか。


本当はお出迎えした方が良いんだろうけど、でも起き上がる気力がない。


「A、起きて」


「…んー…ミカ兄様…寝かせてください…」


手を振り払って布団にくるまるが、その布団を引っ剥がされた。


「逃げよう、人間の世界に…!」


「…え」


ミカ兄様の手には、巻物、に見える紙。


優兄様は銃を片手に持っている。


「ほら、早く!」


短いナイフを手に握らされた。


「ミカ、兄様…これ…」


「フェリドの館から色々パクって来ちゃいました!逃げるよ、皆で」


手を握られた。

伍→←参



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作者名:死雷夢 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2023年10月20日 11時

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