拾肆 ページ15
「ほー…じゃ、めんどいの嫌いだし、ちょっとこいつらの能力試してみるか」
「ちょっ、嘘…！グ、グレン様！？」
「？…何ですか、グレン」
鬼呪装備を勢い良く引き抜いたグレンに向かって首をかしげる。
「死んだ奴は…あー…修行が足んなかった自分を恨め」
抜いた鬼呪装備を勢いよく床に突き刺すグレン。それと同時に、鬼の呪いが教室に広がり出した。
「ん、む？…ぁれ」
生徒が回りでバタバタ倒れていく。
僕もちょっと苦しいけど、でも倒れるほどではない。
「A君、大丈夫？」
「、与一？」
苦しくないのかな…すごい。僕ももっと訓練しなきゃ。
「はい終了〜。じゃあ今意識がある奴。見込みがあるぞ、このまま訓練続けていきゃぁ鬼呪装備契約の儀に移れる可能性がある。次、立っていられたやつ」
僕の方を見て、グレンは少し笑った。
そして、まるで僕の好物を鼻先で振るかのような楽しそうな声で歌うように言う。
「お前らは優秀だ。すぐに俺の剣と同ランク、『黒鬼』のシリーズに挑戦させてやる」
黒鬼、という言葉を聞いた瞬間、背筋がぞわり震えた。
グレンと同じ位置に立てる武器。
欲しい…。欲しい、欲しくてたまらない。
「…？Aくん、どうしたの？」
「ぁ、与一。…平気です」
グレンがちらりとこちらを見る。
「んで、立ってるのは…A、君月、与一…いやお前は気絶しろよ。にしてもシノア…呪符無しで余裕な顔しやがって。さすが日本帝鬼軍の当主筋、柊家様ってわけか？可愛気ねぇぞ」
「ウソ〜。こんなに可愛いじゃないですか〜？」
「死ね」
シノアさん…ああいうところがあるから可愛くないって言われるんじゃないかな？
「あの、グレン様…無茶苦茶な試験はいつもの事で良いのですが…」
良いんだ。
「与一君を『黒鬼』シリーズに挑戦させるのは、どうかと思います。心は安定していても鬼を受け入れられるほどの強さは…」
…そっか。与一は優しすぎる。それに、鬼は弱い人間を嫌うから危険だ。
「与一。お前、吸血鬼に殺された姉貴の復讐したいんだろ？なら命懸けるよな？」
「…、与一、帰って。与一には無理です」
与一は優しい、すごく良い人だから。こんなところで死んでほしくない。
与一は一瞬迷って、でも顔を上げた。
「…僕やります…！もっと強い力が欲しいから…もう大切な人を失わないくらいの力が欲しいから！」
…なら一緒か。
「…じゃあ行くぞ。契約の儀式に移る」
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