そばにいさせて 3【怪盗キッド】

私達を繋ぐもの 5 ページ6

「キッドが現れるのは天守閣。それは間違いないのだが」



扉から男の声が聞こえた。
見てみると、二人の男がこちらに向かって歩いてくる。





茶木 神太郎(ちゃき しんたろう)さんと中森警部だった。


茶木さんはキッド特別対策本部に所属する警視で、まぁ怖い。
とりあえず怖い。




中森警部が予告状の一部を話す。





「秒針の無い時計が１２番目の文字を刻むとき…この意味がどうしてもわからんのだ」







まぁ、私は知っている。

なので予告状の示す時間の一時間前には準備しないといけない。







私がすました顔でいると、コナン君がのぞき込んできた。





「何か知ってそうだね、Aお姉ちゃん」



笑顔から圧力を感じる。








「いや、ほら。意味わからな過ぎて話に追いついていけない。的な」




「そうよ、ガキンチョ。Aはポンコツなんだからわかるわけないって」




「くっ・・・言い返せない」






今ばかりは本当にポンコツキャラでよかったなと心底思った。







すると蘭のお父さんがクククと低い笑いをこぼす。





「わかりましたよ。これはアルファベットで数えるんです。１２番目はＬ!!つまり…」







みんな一斉に腕時計を見る。




「３時か!」



「待ってろよ!怪盗キッド!!」






中森警部と茶木警視は足早に立ち去っていく。







蘭のお父さんは大きい声で笑っていた。





(全然違うけど・・・ま、いっか!)





ふとコナン君を見ると、顎に手をあて考え込んでいた。





(流石に名探偵は納得しないか・・)





ガシッ






突然園子に腕をつかまれる。




「んじゃ、キッド様の予告時間も分かったことだし」





ガシッ





反対側から蘭にも腕をつかまれる。





「観光兼、Aの事情聴取行きましょ」




「えぇ〜!Aちゃんいつの間に彼氏できたん??聞かせてや」





まずい・・・この流れは非常にまずい。





「えーっと、キッド捕まえた後にお話でも・・・」





「そういえば、とっても美味しい抹茶屋さん知っとるんだけど、そこで話し聞かへん？」



「いいねいいね」


「賛成」




「あーコナン君、服部君助けてクレメンスー」



服部君は苦笑いをしながら手を振る。



コナン君はなぞににっこにこしながら手を振った。



あいつ、楽しんでやがるぞ!

私は二人に引きずられながら部屋を後にした。

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