82頁目 ページ35
『また学校遅れて来てるなぁ…』
ぼーっと窓の外を見ながらそう呟いた。
私が今見ているのは沢田綱吉だ。沢田綱吉は何故か髪の毛が濡れていて…ああ、なるほど。今日は三浦ハルが沢田綱吉を好きになる日だったか。
原作でも二巻に突入している…つまり夏休みが終わり次第恭弥さんのいる応接室に彼らが来る。その細かい日付けさえ分かれば私は関わるのを避けるのだけど。いや、別にもう今更関わりたくないなんて往生際の悪い事を言うつもりはないのだ。ただ…恭弥さんが山本くんを殴っている所はあまり見たくない、と言うか。
どっちの味方をする？なんて質問をされてしまえば、間違いなく恭弥さんなのだけど。そう言えば山本くんは私が恭弥さんのお気に入りって知った上で関わっているのかな。分からないが、まあ最悪それで関わりがなくなっても…いやそのくらいじゃ関わりなくす様な性格ではなかったよね。知ってる。
私が暇を持て余す授業と言えば、間違いなく理科だ。今も理科の時間の為窓の外を見て沢田綱吉を確認していた所なのだ。
『…早く放課後にならないかな』
元々クラスは好きじゃない。今だって窓の外を見ていただけなのに「ヒバリさんでも居たのかな？」「良いよな風紀委員長に贔屓されてる奴は」とか聞こえて来る。君達は頭が良くないんだから授業に集中すれば良いものを。私は他の科目でカバー出来るくらいには頭が良いから良いのだ。理科だけはどうしてもやる気にならないし。
風紀委員長と今仲良く出来ているのは、もちろん彼が私を気に入ってくれたからだけど。それは私の性格あって故だと言うのに何も知らずに嫉妬して文句を言う。勘弁して欲しいものだ、私が余計な事を一つでも言えば君達は全員しばらくの間病院から出られなくなると言うのに。
校門からグラウンドに視線を移す。どうやら今隣のクラスは外で体育の授業を受けているらしい。ゆきちゃんの姿を確認して見つめていれば、ゆきちゃんは視線を感じたのかこっちを向いた。普段はそんなに元気でもないゆきちゃんが全力で手を振るのなんて私相手くらいだろう。
「あいつ風紀委員長だけじゃなく隣のクラスの美少女まで誑してるのかよ」
「本当に悪女なんじゃない？」
「そうでもなきゃ有り得ないよな、あんな二人を下僕みたいにさ」
…下僕、ね。まるで二人を侮辱するかの様な言葉だ。私に勇気があれば、机を蹴り飛ばしながら教室から出て行ってやるのに。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 35人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
にこ(プロフ) - セツナさん» ありがとうございます〜！ (2月6日 18時) (
レス) id: 2482e00544 (このIDを非表示/違反報告)
セツナ(プロフ) - 好きすぎます！！！ (2月6日 17時) (レス) @page34 id: 6cc1bafe7a (このIDを非表示/違反報告)
にこ(プロフ) - せつさん» ありがとうございます〜！この先原作沿っちゃうのでただの日常は減ってしまうかもしれませんが、時折おふざけ的な日常挟みつつ書きたいと思っていますのでこれからも是非よろしくお願いします！ (2月5日 13時) (レス) id: 2482e00544 (このIDを非表示/違反報告)
せつ(プロフ) - めちゃくちゃ面白いです！こういう日常系のやつ好きです！更新楽しみにしてます (2月5日 9時) (レス) @page22 id: da1a15d406 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：にこ | 作成日時：2024年2月2日 19時
