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#47 これから。 ページ47

別に同棲が始まったからと言って、何かが変わる訳では無い。

普通にてつやの家に行って、ギャーギャーして遊び疲れて帰る。

たまーに東京に行って、ギャーギャーして遊び疲れて帰る。

ただひとつ違うこと、それは当たり前だけど当たり前じゃない彼女がそこにいること。

今日も玄関のドアを開けると、「帰るよ」と連絡しておいたから彼女がわざわざ迎えに来てくれる。


「おかえりなさい」

「ん、ただいま」

「今日は肉じゃがだよ!!」

「まじか、早く帰ってきた甲斐があった」

「なんかね、早く帰ってきてくれる気がしてたの!!」


「早く手洗ってきて!!」って言いながら、またキッチンに戻っていく。

こんな会話きっと、俺が手を洗ってリビングに行ってからでいいと思うんだ。

でも、俺らはこれがいい。
いつかAちゃんがあとから帰ってくる日があったとしても俺は迎えに行ってしまうと思う。


「あ、そうそう!来週末空いてるって!」

「ん?そっか...」


彼女の肉じゃがを食べると思い出す。
もうすぐ1年になるのか、あの風邪をひいて狼になりかけたあの日から。

そして俺はこれから、彼女をいちばん大切に思っている彼女の両親に会わせてもらうことになった。

そりゃあ、そんなすぐ「娘さんを僕にください」とかはないけどさ、俺にとっては一大事。


「えっ、もしかして嫌だった..?」


緊張でドキッとした「そっか」が嫌そうに聞こえたみたいで、彼女もしょぼーんの顔になる。

「んなわけないやん」って笑いながらじゃがいもを口に入れると、しょぼーんの顔が安堵の顔に変わる。

くるくる変わる表情が最初から変わらず可愛いんだけど、最近は可愛いって言うのはやめた。
あんまり可愛いって言い続けてたらこのまえAちゃんに怒られちゃったからね。


「Aちゃん」

「なんですか??」


お腹も満たされて、テレビの前のラグに座ってるAちゃんの隣に座る。

テレビは消そうか消さないか迷ったけど、賑やかしのためにつけとこう。


「俺、頑張るわ」


ちょっとはずかしくなって、彼女の膝に手を乗せてポンポンと叩く。

彼女もその手に自分の手を重ねて、俺の顔をのぞき込む。

テレビからは頭の悪そうなバカ笑いが聞こえてきて、やっぱり消せばよかった。


「ちょっとでもAちゃんの家族に認めて貰えるように」


今度はYouTuberだって、1番に言うんだ。

これから、ずっとAちゃんといるために。

#48 永遠。→←#46 愛の城。



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設定タグ:YouTuber , 東海オンエア   
作品ジャンル:恋愛
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作者名:Ma | 作成日時:2018年9月12日 12時

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