＃46 愛の城。 ページ46
｢としみつこれどこ？！｣
｢えーっと..｣
｢あ！それはここにお願いします！！｣
｢AちゃんOK！｣
｢としみつこれは？！｣
｢あー...それは｣
｢それは向こうのお部屋に置いておいてください！｣
｢A他に向こうに運ぶのある？｣
｢としみつほんとにぽんこつだなぁ｣
新しい部屋は彼女の職場からも近いし、てつやの家までも車で行けばそんなに遠くはない。
家賃はもちろん倍だけど、条件がバッチリあった新築の10階に決めた。
彼女との愛の城をやっとGETしたわけ。
｢はっ？！2人の家なんだからいーんだよ！うちのがやれば！！！｣
｢やば、としみつうちのとか言ってくるー！｣
｢もう妻じゃん｣
てつやがAちゃんに指示されて小物を棚に並べるとそう言いながら戻ってくる。
そんな俺は自分の荷物を崩して、自分の部屋のことしかしてない。
確かにぽんこつかもしれない。
みんながいないと何も出来ない。
｢ちょっと休憩する？｣
｢するー！！！｣
｢としくんが1番に言うの？笑｣
カウンターキッチンに入るAちゃん。
すぐ近くに4人用のテーブル。
彼女が料理してるのを一番近くで見える特等席。
てつやとりょうと虫さんも席につくと、｢ほんとにいい所だね｣って部屋をキョロキョロ見渡す。
そりゃあ何件も何件も不動産屋回りましたから。
そりゃあこだわって選びましたから。
これから、何があっても一緒にいたいと思う彼女と一緒に時を刻む場所ですから。
｢うまーっ！！｣
｢ほんと？！昨焼いてみたんだけど、味見してなかったの！てつやくんに喜んでもらえてよかったぁ｣
Aちゃんが出したクッキーを頬張ってるてつやにいつもなら嫉妬してただろうけど、なんだか微笑ましく思えてきた。
Aちゃんはもう俺んのだから。
｢へぇ、Aお菓子作りもできるんだ｣
｢おおおい！！呼び捨て禁止！！｣
｢ふっ、としみつこだわり過ぎじゃね？｣
｢こだわるだろ？！｣
りょうのそれは嫉妬するからダメ。
｢としくんも食べて！！｣
｢んーま！！｣
｢でしょー？！｣って自慢げに言ったのはてつやで、両手にクッキーを持ってる。
もうこいつらやりたい放題すぎる。
｢としくんのお友達はみーんな面白いね｣
でもAちゃんが笑うから、それでいいで片付いちゃう。
これからもずっとこの愛の城を笑顔いっぱいにしていこうね。
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作者名：Ma
| 作成日時：2018年9月12日 12時
