#38 アレ? ページ38
「俺ちょっと見てくる」って言って、あまりにも帰りが遅いAちゃんを探しに行くことにした。
「なーにしてんの?」
トイレ近くのベンチにAちゃんが座ってて、下を俯いていた。
それを見つけた瞬間少し小走りになった自分がいて、ベンチに座ればよかったのに早く声をかけたくて隅っこに座ってるAちゃんの横にぴょんっと足を揃えていくと、そのまましゃがんだ。
「あっ...としくん...」
「ん?大丈夫?」
「ちょっと...」
下を向く彼女の顔を思いっきり覗き込むと、少し苦しそうな顔をしている。
こんな元気の無い彼女を見るのは初めてで、どうしたらいいかわからんけど、とりあえず背中に手を回してさすってみる。
「大丈夫?どっか痛い?」
反対側に回って、Aちゃんの隣に腰掛ける。
また背中に手を回して数回さする。
「ううん、平気...ごめんね..」
全然平気そうじゃないんだけど、言いたくないこともあるかもしれないし本人が大丈夫って言ってるし無理に聞かない方がいいのかな?
んー、女の子って難しい。
「じっ...じつはアレがきちゃって...」
「ん?あれ?」
「いたっ...」
お腹を押さえて苦しそうにしてるのを見て、やっとあれが何なのか気づいて我ながら気が利かなすぎってがっかりする。
だけど原因を知ったとしても何が出来るのか分からないし、無言の時間が続いてしまう。
「えーっと...あー...ごめん、なんも出来んくて」
「ふふっ、それが当たり前だから大丈夫よ?」
「んー...なんか悔しいな...」
「悔しいって...」
体が冷えたらいけないとおもって、とりあえず自分が羽織っていたシャツを脱いで彼女にかけるとぱっとこちらを見て目を真ん丸くしてる。
「どした?暑かった?」
「ううん...嬉しくてびっくりした...」
「ならよかった」
ちょっと苦しそうだけど、としくんの匂いがするって微笑むAちゃんが不謹慎だけど愛おしい。
「温かいの買ってくるよ、待ってて?」
「うん...」
ついでになにかお腹をあたためるものがあればいいんだけど。
そんな都合よくないか。
「あ!としみつ!おっせーよ!!」
すたすたと足早に歩いてる俺を見つけたてつやがこっちを指さしてる。
「ごめっ、お前ら先にどっかいってて?」
「え?大丈夫?」
「ん、平気だけどちょっと休んでくわ」
虫さんにはどうしたらいい?とか相談したかったけど、Aちゃんは嫌だろうなぁって思ったから黙ってよ。
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作者名:Ma | 作成日時:2018年9月12日 12時