＃23 青と白。 ページ23
｢なーんも見えんだけど｣
｢見えなくていいんだよ？｣
｢なんのために水着に着替えたの！！｣
｢海に入るためだよ？｣
｢俺に見せるためでしょ？！｣
ブカブカもいいところなパーカーがAちゃんの一番いいところを隠してやがるから、せっかく楽しみにしてた水着は全然見えない。
｢ちがいます！！早くパシャパシャしようよー｣
まだ荷物を持ったままなのに、Aちゃんは海の方へ繋いでいる俺の手を引く。
もちろん、止まろうと思えば止まれたんだけどAちゃんが可愛くて荷物を肩にかけたままついて行く。
｢わっ！冷たいよ？｣
俺の手を離して、両手を海につけるとすっごい嬉しそうに俺の顔を見上げる。
｢そりゃあ今は冷たいでしょ？｣
続けて海に足をつけたけど確かに想像以上に冷たい。
どうにかしてパーカーの中を覗いてやろうと色んな角度から見てみようと思ったけど、難しそう。
｢としくん！｣
｢うわっ...やったな..！｣
波打ち際のあっさい所で足をつけてバシャバシャしてると思ったら、いきなり顔に水が飛んできていたずらっ子の顔した彼女が｢かかったー！！｣って笑ってる。
肩にかけたカバンが落ちないように気をつけながら、彼女の足元にバシャンとやり返すと｢冷たいー｣ってかけられたのに嬉しそう。
あいつらと来た時はずーっとバカやって泳いだり、水鉄砲でビシャビシャになったり、ビーチバレーしたり、ガチ遊びだったけど。
こうしてのんびりイチャイチャするのも良い沖縄の過ごし方。
｢さっきの人達可愛かったね｣
｢あー、そんな近くで見とったんだね｣
｢うん...｣
ちょっと一休みって、海の家みたいなところで1つの焼きそばを2人で食べる。
Aちゃんはちょっと悲しそうに、｢スタイルもよかったしなぁ...｣って呟く。
｢そうか？Aちゃんの方が可愛いしスタイル良いわ｣
｢信じないもん...そんなの｣
｢ふーん...｣
焼きそばを口に入れてすぐ箸を置おくと、目の前に座るAちゃんの邪魔すぎるパーカーのチャックを少しだけおろした。
｢白はやばいわ...｣
｢ちょっ...ちょっととしくん！！｣
昨日全てをさらけ出したのに、なんか恥ずかしそう。
すぐにチャックは戻されて、水着は見えなくなってしまった。
｢ま、そこだけは負けてるかもね？｣
｢もー！！！としくんいじわる！！｣
拗ねてしまったAちゃんを復活させるのはソフトクリームが必須でした。
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作者名：Ma
| 作成日時：2018年9月12日 12時
