#22 変な男。 ページ22
「今罰ゲーム中」
「撮影できてるってことですか?」
「ん、そうそう」
撮影で来てないけど。
全くプライベートで来てるけど。
「え!私てつやくん推しなんだけど!」
「あー、どっかにおんじゃね?」
「全員で来たんですか?」
「そうだよ?あ、誰にも言うなよ?大騒ぎになるから」
いや、ここから消え去ってくれるなら誰に言ってもいいよ。
だって忘れてたけど、あいつらがどこかにいることは事実だし。
沖縄で生放送するとかバカなこと言っとったし。
これはウソじゃないもーん。
「ありがとうございました!」
最後に写真だけ対応して、手を振る。
大人しくどこかへ行ってくれたから、よしとしよう。
あれ、そう言えばうちの可愛いお姫様は?
全然帰ってこないけど大丈夫かな。
電話でもかけてみようかとスマホを手に取ると、LINEの通知がロック画面に光っていた。
«としくんお相手忙しそうなので、ひとりでフラフラしてますね »
もちろんこれを送ったのはAちゃん。
俺は急いでレジャーシートをたたんで、荷物をちゃんとまとめることなく歩き出した。
見られてた。
そりゃ出てこれないよな、Aちゃんいい子やもん。
そんなこと一度も頼んだことないし、二人で歩いてるときに視聴者に話しかけられたことない。
そんなことより、Aちゃんが水着で一人で歩いてるだと?!
そんなこと許されるわけがないじゃん。
ビーチが思ったより横に広くて、キョロキョロしながら歩いててもなかなか見つからないし先が無限にあるように思える。
変な男に絡まれてる女の子達と何回かすれ違って不安になってくる。
「あ!」
「あ!としくんだ!」
「あー...よかった...」
ほんとに好きな人ってキラキラして見えるから不思議。
しゃがみこんでパーカー羽織ってるから水着は見えないけど、俺の好きなお団子頭。
「何しとんの?って俺が悪いんやけどさ」
「海みながら歩いてたら、この子がお山作ってたから混ぜてもらったの」
「遊んでもらってたん?笑」
「そうそう!!」
変な男じゃなくて、男の子に捕まったんか。
ならいいか。
その子にAちゃんを幸せにすることは出来んし。
子供相手にこんなこと、かなり重めな彼氏だわ。
「じゃあ行こか?」
お山をなんとか作り終えたらしく、手を差し出すとAちゃんが「ありがとう」って言いながら手をとる。
あ、綺麗な脚が見えた。
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作者名:Ma | 作成日時:2018年9月12日 12時