恋した緑くんのお話。(仮) 2 【東海オンエア】 (ページ37)

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＃81 偽り。ページ37

てつやは｢ゆう｣という偽名を使って、初心者を装っていた。

こいつ、こういうところばっかり天才だな。

絶対ほかに頭使うところあるだろ。

｢ゆうくんはとしみつくんのお友達？｣

｢うん、そうだよ。僕もとしみつに誘われてきたの｣

嘘つけ。逆だわ。ふざけんなや。

｢じゃあ、オレンジ男さんともお友達？｣

｢オレンジ男？｣

何も知りませんと言わんばかりに、首を傾げる。

お前のことだわ！バカてつや！

｢A！オレンジ男ってなにそれ｣

｢ん？としみつくんのお友達さん｣

｢僕は知らないかな｣

もう何も言わん。
あとからぶん殴ればいいか。

ちょっと酔いが回って、お腹もいい感じに膨れて来た頃、席替えをして、俺たちの前にはAちゃん達じゃない女の子2人組がきた。

話の途中でてつやが小声で｢右の子狙うわ｣とか今の俺にとってはどうでもいい報告をしてきて、｢はいはい｣とだけ返した。

まあでも、久々の女の子達との飲み会は楽しいもので、斜め前に見えるAちゃんに緊張しながらも、あの頃の飲み会テンションが戻りつつあった。

話はありがちな仕事の話になった。

俺はやっぱりアパレルで働いていると答えた。
ファッションは好きだし、ブランドとかも結構知ってるから、聞かれても答えられるという自信があった。

｢私は飲食やってます｣

｢私はとしみつくんと同じファッション系！｣

てつやが狙うと言っていた右側の子は俺と同じファッション系らしい。

確かにキラキラしてて、向いてそうだわ。

｢としみつくんは大学時代もそういうバイトしてたの？｣

右の子は俺を狙ってるんじゃないかって思うくらい俺の目ばっかり見てる。

てつやは少し不機嫌そうに｢ちょっとトイレ行ってくる｣と出ていった。