星にネガイを【18歳組】

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「当真ー」





ある日のことだった


昇降口にお前を待ってる女子がいる、とクラスの特に仲のいいとは思えないそいつが話しかけてきた




「おー…?」




なんだよ、女いたのかよ、と周りのやつにからかわれる

近くにいた鋼に目をやると俺は知らない、と首を振られる


まじで告白とか?俺上手く振れるかね、と
呑気なことを考えながら階段をゆっくり下りる

ついでに次の授業サボれねぇかな、とそんな希望を頭の隅に置く





昇降口に近づくにつれて女子の姿が見えてきた





残念というか安心したというか、そいつは俺に笑いかける
進学の制服の上から荒船のものと思われるパーカーを着たAだった





「あったかそーにしてんなぁ、」




「まぁねー。
いいでしょ、荒船パーカー。
剥ぎ取ってきたからもうそろそろこっち来るかも」




笑いながら恐ろしいことを言う
こんな寒い日に限って荒船は一枚剥ぎ取られてんのか、可哀想に。と少しばかり同情した




「お前ら授業は?」



「創立記念日なのでお休みですー」






へらへらと笑うA
とても楽しそうだった






「…なのに制服かよ」




「忘れ物を取りに行ってたんだよ。

荒船を巻き込んで」




「本格的に同情したくなってきたわ」



「本格的に同情って何よ」



「本格的に同情ってのは本格的に同情って事だろ」




「いやだからその本格的に同情っていうのは…あ痛い!!」





ゲシッ、とAの頭上から手刀が振り下ろされた

Aは頭を抱えながら後ろを振り返る





「俺のパーカーはあったけぇか?おい」





「あ、ああああ、荒船サンｯ!
あったかいよ、うんうん!ほら!袖もこーんなに余って………痛い痛い痛い痛いぃいい!!!」





両頬を抓られ涙目になるAの目の前には
制服一枚で凍えている荒船がいた






「取り敢えず俺、戻っていーよな」




「おー、悪りぃ」




「えっ、ちょ、助け…うぇぇええ!!!!」




パーカーを剥ぎ取られ、寒い寒いと荒船に泣きつくAを尻目に俺は教室に戻る




すると、あ、とAが大声を上げた




「私ねー!


また向こうに行くことになったからー!」






「……………………………は?」







鋼とポカリにもよろしく!と、そいつは笑った







俺は急いで外に出た




でも、そこには雪があるだけで




アイツの姿はもう見えなくなっていた

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