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36. ページ37

「…だって


帰って来た時、あの子たち泣いたんですよ?」




「当たり前だろ」




何を言う、と赤さんは怪訝そうに顔をしかめた
私は自嘲的な笑みを浮かべる




「この前も荒船の手を掴んで言っちゃったんです



離さないで、って」




「…………」





「バカですよね
そんなこと言ったら彼、本当に私のこと離さないに決まってるじゃないですか。



私だってこの先、遠征に行くこともあるだろうし
近界民が襲ってきた時、もしかしたら連れ去られちゃうかもしれない



でもきっと、彼は私のことをずーっと待ち続けて



私が死んでも、それを背負って生きてくのかなって




……まるで、呪い、みたいに」





私の背中にある大きな傷も、


呪いがかかってるかのように消えなかった





「………それで、お前は巻き込みたくないってか」




「当たり前です」





はあ、と大きなため息が聞こえた





「お前、あいつらの事自分より下だって思ってるだろ」





技術も、成績も、知識も、


全部、お前の方が優れてるんだろ?





と、赤さんは今まで見せたことのない冷たい目を私に向けた







「……え?」





「そりゃあ、お前より少しは劣ってるだろうよ


それでも、あいつらは私らボーダーの誇る隊員なんだよ。ちゃんと、強いんだよ」





「それは、わかってます…けど…」




「じゃあ何で信じてやれない?
信じてるってなら、一緒に戦えただろ


お前が言えない理由はは巻き込みたくないからってだけじゃない。
あいつらには無理だって、思ってるんだよ
意識してなくても、無意識に」






言われてみれば、そうだったのかもしれない。


赤さんがここまで人を見ていることが、意外だった





「…あ、の


私、行ってきます、荒船たちのとこ」





「ん」






閉じられた分厚いファイルには



幾つもの検査結果や資料が閉じられていた






それは全て、この数週間で溜まったものだった







「……中村、ね……」





久しぶりに見た昼間の空は


照り輝いていた

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MAHIRO(プロフ) - 1ですね好きですね荒船さんたちもですがおむらーすさんも好きです! (2021年1月20日 20時) (レス) id: 46ead23bcd (このIDを非表示/違反報告)
おむらーす - えびふらい@蜜柑or林檎は究極←さん» もっとやれくださいwwわかりました!りょうかいです!笑 (2016年1月16日 14時) (レス) id: e5ea87c0cf (このIDを非表示/違反報告)
えびふらい@蜜柑or林檎は究極← - 1です。けしからんもっとやれください← (2016年1月8日 18時) (レス) id: 589d4c8567 (このIDを非表示/違反報告)
おむらーす - 嵩翔*さん» 1ですね!りょうかいです!私も、荒船さんとイチャついて死 ねるなら本望です(仏顔)←← ありがとうございます! (2015年12月6日 19時) (レス) id: e5ea87c0cf (このIDを非表示/違反報告)
嵩翔*(プロフ) - 1でお願いします!!1最高ですね。荒船さんとイチャつけるなら死 にますね← (2015年12月6日 10時) (レス) id: faa06f47e1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:おむらーす | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/personal.php?t=mucho  
作成日時:2015年10月9日 1時

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