星にネガイを【18歳組】

31. ページ32

「遠征?

いやいや、当分は私いけないんじゃないな」




あんなこともあったしね、とヘラヘラ笑うこの人は、俺の憧れだった




「やっぱそうなんすね」



「そーそ。
あーレイジさんの作るご飯は美味しいなぁ」




パクリ、とクリームシチューを頬張る彼女の頬を拭う




「ついてましたよ」




「ん、ははっ、私後輩みたい」




ありがとねー、とまた一口


確かに今夜のシチューは美味しかった、と彼女の行動に納得する


頬は緩みきったままだ





「まぁ、私も遠征はあまり行きたくないかも

今をたくさん楽しめってのが、迅さんや上層部からの命令だしね」




「へぇ

城戸司令が…」




「いや、まぁ、正直あの人はどう思ってるか知らないけどね


何だかんだ言っていい人ばかりだし、本部って」




だから嫌いになれないんだ、と付け合わせのパンを口に放る




「ちょっと!

Aさんが来てるなら言いなさいよ!!とりまる!」



「だから言ったじゃないすか。
特別ゲストが来てるって」



「そんなのじゃわかんないわよ!!!」




顔を赤くして息も切れてる
走ってきたのだろうか
相当好かれてるな、この人は





「桐絵、おかえり、ただいま」



「！

心配したんだから…!少しは顔見せなさいよ!!」




あんなにも大声を出して泣く小南先輩を

その日俺は初めて目にした





「え、なにこれ?」



「…感動の、再開、すかね」




その後現れた宇佐美先輩や迅さんにはかなり驚かれた




「今日はもう遅いし泊まってくだろ?」



林藤支部長が戻ってきたころには、小南先輩は泣き疲れて寝ていた



「はい、そうします。
桐絵もこんなだし…」





「…寝てるのか?小南が」





「………優しい子ですから」



先輩は小南先輩の頭を、額を撫でる



「そうだな」



それを微笑ましそうに眺める



「ところで、受動喫煙って知ってます?」




「……すまんすまん」






グシャリ、と灰皿の上で灰色のそれは潰れた

32.→←30.

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す