月明かりの下で、君と約束をしよう (ページ36)

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第三十五話ページ36

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｢この僕に相応しい人は君以外ありえない。｣

赤い瞳をした少年は、熱心に本を読んでいる美しい少女に手を差し伸べた。

｢素直に言えばいいのに。私の事好きなんでしょう？｣

少女はその少年よりも、本の方が好きなのだろう。

差し伸べた手に見向きもしなかった。

｢僕が君のことを好きだって？いいや、君がアルフレッド家の娘だからさ。｣

｢なら、私は貴方とお付き合いできません。｣

少女は本を読み続けている。

｢どうすればいいんだ？君は何が欲しい？｣

少女は隣にいる少年をちらっと見ると、また本に視線を落とした。

｢トムが私を好きって言ってくれたらね。心からの好きが欲しいわ。｣

｢我儘なお嬢様だ。僕が怒らない事を良いことに...｣

｢だって、私の事好きなんでしょう？｣

｢違うｯｯ、だから僕は...！！｣

｢ふふふっ。｣

否定しようとする少年の横で、少女は悪戯そうに微笑んでいた。

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目を覚ますと、いつもの風景だった。

何だか、懐かしい夢を見ていた気がする。

『トム...』

私は無意識に誰かの名前を呼んでしまい、自分の口元を触った。

そうだ、ハーマイオニーは...！！

私は隣のベッドを見た。

ハーマイオニーは戻ってきていない。

私は着替えて、急いで談話室に向かった。