第二十話 ページ21
私は女子トイレからすすり泣きが聞こえたので行ってみると、それはハーマイオニーのものだった。
『ハーマイオニー？』
彼女はしゃくりをあげてトイレに閉じこもっていた。
『私の独り言だと思って聞いて欲しいんだけど...』
私はハーマイオニーの入っている個室の扉に寄りかかって話し始めた。
『私、貴女が言ったように完璧なんかじゃないわ。
天文学は苦手だし、貴族という位置づけだけど、マナーだってあまり覚えられないし。
それに友達も少ないし。』
私は苦笑混じりに話を続けた。
『私の家系は一部の純血貴族からよく思われていないの。
気軽にパーティとかにも行けないし、立場上マグル界に遊びに行くのもあんまり出来ないから、友達は全然できなかったの。
だから私はハーマイオニーみたいな友達が出来て凄く嬉しい！』
私は目を伏せた。
『ねえ、ハーマイオニー。
私は完璧な人間じゃないけど、それでも仲良くしてくれる？』
すると、個室の扉が開いて、ハーマイオニーは私に抱き着いてきた。
ハー ｢勿論…！！ごめんなさい、サクラ、酷いこと言って……最低よ…。｣
片方の手はハーマイオニーの背中に優しく添えて、もう片方の手でハーマイオニーの頭を撫でた。
『いいえ、そんな事ないわ。だって貴女は、こうして私を抱き締めてくれているじゃない。優しい女性よ。』
ハー ｢サクラの方が、ずっと優しいわよ！｣
『ハーマイオニーの方がずっとずっと優しいわ！』
私たちは目を合わせると、笑い合った。
仲直りもできて私たちは楽しい雰囲気だったが、妙に嫌な予感がした。
鼻を刺すような臭いがしたのだ。
それも、どんどん強烈になってる。
『ハーマイオニー、貴女はここに隠れて。』
ハーマイオニーも異変に気づいたようで、こくりと頷く。
ハーマイオニーをトイレの個室に隠れさせると、私も入口から見えにくい所に移動した。
足音が大きい。人ではないようだ。
生臭い。そして何かものを引き摺っている音がする。
この生き物は...
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作者名：おむちゃ〜 | 作成日時：2021年12月16日 9時
