◎羨_kr ページ3
(推し嫉妬シリーズ)
最近、というかここ数ヶ月で私の部屋は恐ろしいことになっていた。ものすごく簡単に言えば、
『推しの物多すぎるなこれは…。』
周りを見渡す限り、推しのタオル、うちわ、Tシャツ、銀テ等々。思わず自分で苦笑いした。元から何かに熱中すると沼ることは分かりきっていた訳だけど。そろそろ整理しないとな〜…なんて思っていたら、後ろからドアが開く音がした。冷や汗が垂れる。
「A、入るよ…って、なに、これ。」
『いや、きりやんさんちょっと待ってお願い見なかったことにしようね。』
私がこのグッズを集めたのはここ数ヶ月で。つまるところ、彼氏であるきりやんは私がアイドルに沼っている事を知らない。そんな彼にこんな部屋を見られたら、まぁそんな反応になるのも分かる。私も逆の立場だったら嫌だし。
「待って、え、何。浮気???え??」
『ごめん!とりあえず落ち着いて!!あと浮気では無いです!!!』
完全に混乱している彼を何とか宥めてソファに座らせた。このタイミングでバレるのはまずかったかな。何とか落ち着いてもらってから私はいそいそと口を開いた。
『あれはー…確かにアイドルグループのグッズです。最近ハマって集めたんだけど、でも!ガチ恋とかじゃないし、リアコとかじゃないので!そこは、理解して欲しいなー…と。』
怒られるかな…と思いながらチラリときりやんを見ると、彼は手で顔を抑えながら何を言おうか迷っているようだった。少ししてからきりやんの声が聞こえた。
「いや、その、戸惑ったし、嫉妬したけど、まぁ…何かにハマる気持ちは分からんでもない。」
『よ、かった…。』
「でも!」
きりやんにグイッと手を引かれて顔が至近距離になる。反射的にうわ、と声を出してしまった。
「…その、そっちにハマりすぎて俺を蔑ろにはして欲しくないな、と。」
『……絶対しない。誓います。』
「よろしい!」
私の言葉に満足したのか、きりやんは嬉しそうに笑って私を抱きとめた。とりあえず丸く収まった、のかな?
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作者名:モチモチな餅。 | 作成日時:2021年11月24日 22時