◇ ページ28
慌てて彼の腕を解き振り返る。彼はまだ外が肌寒いのに上着も着ずにいた。
『なん、で、』
「そりゃ誰だって好きな子が何も言わずに家飛び出しちゃったら追いかけるでしょ!!? ほんとに、心配した…ッ。」
彼はそう言って今度は正面から私を抱きしめた。ふわりと香る彼の暖かい匂いが鼻腔をくすぐる。でも、やっぱり申し訳なさが募ってしまって。
『あの、ぶるーく…本当にごめんね。』
「いいよ。もう、謝らなくていいから。僕の方こそ嫌なこと言っちゃった。ごめん。」
一言一言紡いでいくにつれて抱きしめられている腕の力が強くなっていく。それがなんだから嬉しくて、顔が綻ぶ。でもそれに反して私の目から涙が零れ落ちた。良かった、という安心感が私を襲う。
「…ねぇ、A。」
『なぁに。』
「僕のこと、好き？」
いつもの彼なら「僕のこと好きでしょ？」と自信満々に聞いてくるくせに、変な所で自信をなくしてしまうのだから笑ってしまう。
『うん。大好きだよ。…ぶるーくは？』
「大好き。大好きに決まってんじゃん。僕の、大切な人なんだから。」
その言葉で私の涙腺は崩壊する。ぶるーくの服を汚しちゃいけないと思って耐えようとするも、彼の大きな手が私の頭を撫でてくるせいでそれは叶わなかった。
「もう黙ってお家出るのは無しだよ？」
『分かった。』
「連絡もつかなくて本当に心配したんだから…。」
『あ、』
そう言えばスマホ、持ってたのに開くの忘れてたな。そう思ってスマホを開くと彼からの着信やらメッセージやらで通知が埋まっていた。それだけ心配してくれたんだと思うと胸がほっこりする。
「…はぁ、とにかく帰ってきてくれてよかった。ご飯食べる？ お腹空いてない？」
『そうだね、少し空いたかも。』
「僕もなんにも食べてないからペコペコだよ〜。一緒になにか作ろ。」
ぶるーくは至極嬉しそうに私の手を繋いで家に入れてくれた。次からはもう大丈夫だよね。
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更新遅れましたね、こんばんは。今日からまたボチボチ更新するのでよろしくお願いします😌
これにて家出シリーズ終了です。リクエストありがとうございました🙌
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作者名：モチモチな餅。
| 作成日時：2022年2月13日 22時
