五十枚目っ! ページ1
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みんなでのどんちゃん騒ぎも終わり、帰るときにはとっくに日が暮れていた。
「……A、一緒に帰る?」
「うん、帰りながら次のコラボの話とかしよーよ。」
なるせは少しびっくりしたような、安堵したような……そう。よくわかんない、みたいな顔であたしの方を向いた。
そりゃ、そうだよね。
変な噂流されて、コメントが荒れに荒れまくってるのに……。またコラボしよう、だなんて。
「あー…歌いたい歌とかある?」
「あるよ、アニソンで良いなら。」
最近はまったアニメのオープニングの曲…。
「恋愛系の曲じゃ無いならいいけど?」
「よっしゃぁ、全然恋愛じゃないよ!!」
「なんて曲? 歌詞調べとくから教えて。」
「あぁ、曲名……花丸◎日和だよ。」
「へ〜。調べとくわ」
「おうおう、そうしとけそうしとけ!」
ホントあれ、アニメもゲームも好き…
ゲームしたり、アニメ見てる暇あったら就活しなきゃいけないんだけどさ、めんどいじゃん?
疲れるしさぁ……。
大体あたしの友達働いてる人の方が少ないし!?
ていうか歌い手でCD売ったりライブしたりできるんだったらそれはもう職業じゃないの!?
まだあたしの領域じゃ、認められないかなぁ……。
実家帰ったらまた怒られるのかなぁ……。
もう実家での味方が犬のかさ君しかいないじゃん!!
「あー…就職したくなーい!! なるせもそう思わない?」
「何をいきなり……。ていうかなるせちゃんはケーキ屋でバイトしてる設定だから。」
「ふぅん……実家に帰ったら文句言われるんだ、『歌うなんて馬鹿らしいことしてないで就職しろ』って。」
「実家どこだったっけ?」
「千葉。
あたしは……ていうかみんなだけどさ、東京住まいじゃん? だから結構近いんだけど、あんまり帰ってない。」
帰りたくないし。
帰っても文句言われるだけだし、昔の同級生の姿に一々怯えてたら外にすら出れないし。
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作者名:亜蘭 | 作成日時:2017年5月10日 0時