ご馳走様です 6 ページ29
「これは…クッキーですね。貰ってもいいですか？」
「駄目！返して…！」
「どうしてです？まさか僕以外の誰かにでもあげるんですか？」
「あ、あげないよ…！あげられる程美味しく…ないし…。もらったって、喜ぶ人なんか………」
自分で言ってて悲しくなってきた。イソップの顔が見れなくなって、視線を足元に下げる。そんな私を見てどう思ったのか、イソップは「大丈夫ですよ」と私の頭に手を乗せてきた。
「僕はAさんがくれるものなら、何でも嬉しいです」
「………イソップ」
慈しむような目に何だか、少しだけ泣きそうになった。懐かしいような、悲しいような…変な気持ちだ。イソップが珍しくまともなことを言うからだろうか。…そういえば、この間失血死しかけたときにも、同じ様な光景を見た気がする。あまり思い出せないけど、嫌な記憶ではなく、むしろ…。
「いただきます」
ぼんやりしていると、隙を見て彼は空いている手で私の頭を数回撫でてから、クッキーを口に運んだ。
「…どう、かな」
「美味しいですよ。見た目も綺麗ですし、僕は好きです」
「え、あ…。…。ほ…ほんと？！」
「本当ですよ」
好き、という言葉に思わず反応して肩がはねた。キッチンで言われた言葉が今更思い出して、顔に熱が集まってきた。彼女たちによれば、イソップは、私のことが好き…らしい。チラリと彼を見ると、キョトンとした顔をしていた。
…彼にしては、珍しい表情だ。
よくよく考えてみると、こうしてイソップの表情が変わっているところを、見たことがないかもしれない。…って何で私、イソップのことばかり考えているんだ！
「あ、ありがとう！イソップ…！お世辞でも、嬉しいよ。優しいところもあるんだね」
「……」
「…イソップ？」
「…いえ。また何か作ったらくださいね。私物でもいいですよ。あぁ、それと」
そこで言葉をきると、近づいてくる。なんだろう、と思っていると唇の真横に湿った感触。一瞬、思考が停止する。
私、いま、なにを、され……て…？
何をされたか気がついたときには、イソップは「ご馳走様でした」と満足気に微笑んで、そのままマスクをもとの位置に戻す。
「っな、な…？！」
さっきよりも顔が熱い。イソップの顔がまともに見れなくなって、逃げるように中庭を出た。途中ですれ違ったエマちゃんに顔が赤いことを指摘されて、一層恥ずかしくなる。
これも全部、イソップのせいだ！
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塩わさび - アリスさん» な、内臓？！！こんな作品でもそう言ってもらえて嬉しいです(*´∀｀*)更新がんばります！ (2020年2月11日 19時) (
レス) id: 8b57fbd319 (このIDを非表示/違反報告)
塩わさび - ハルさん» わーん（ ; ; ）ありがとうございます！！更新がんばります…！！ (2020年2月11日 19時) (レス) id: 8b57fbd319 (このIDを非表示/違反報告)
アリス(プロフ) - 塩わさびさん!ヤバイです!推しパラで内臓数個割れました!これからも更新頑張ってください!応援してます(｀･ω･´)ゞ (2020年2月9日 7時) (レス) id: e1cd416983 (このIDを非表示/違反報告)
ハル - テストお疲れ様です！更新楽しみにしてます！ (2020年2月8日 22時) (レス) id: edfc4fb06d (このIDを非表示/違反報告)
塩わさび - イヴさん» ありがとうございます！！なるべく早く更新できるよう頑張ります…！ (2020年1月26日 11時) (レス) id: 8b57fbd319 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：塩わさび | 作成日時：2019年12月14日 1時
