風光る【HQ】 (ページ29)

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27.ローリングサンダーページ29

部活中、西谷の回転レシーブもといローリングサンダーで盛り上がっていたら顧問の武田が軽やかな足取りで体育館へ入ってきた。

なんと、ゴールデンウィーク最終日に東京の音駒高校と練習試合をする予定が組めたらしい。
朗報に皆の表情は明るくなり俄然やる気が湧いてくる。

「東京か…シティボーイめ…けちょんけちょんにしてやるんだぜ」

「ﾌﾟｯ、シティボーイって…」

「うるせえ月島てめえオラァ！！…つーかよ、東京ってことはAは音駒のこと知ってんじゃねえか？」

「元々シティーガールですからね」

「月島ァ…！！」

マネージャーふたりが部活開始から別室で作業していて不在のため、音駒のことは後で聞くとして話は進む。

「大地さん、すみません。俺、練習試合出ません」

「西谷…」

「翔陽はいい奴だし、他の１年も曲者揃いだけど面白そうな奴ばっかで…これからこのチームはなんかこう…いい感じにやっていくんだと思います。……俺もここで練習したい…けど、俺も試合に出てこのチームで勝ったら旭さんいなくても勝てるって証明になるみたいで、嫌です。今まで一緒に戦って来たのに…我儘言ってすみません」

「分かった。でも、合宿には出てくれよ」

「ええ、でも…」

「ノヤさん！もう一回！ローリングサンダーもう一回！」

「な？」

「ううう…」

外から見ても何やらしんみりとしているのが伝わったが、日向が無邪気なちびっ子で西谷がその兄で澤村が二人の父親のように見えて、Aが笑いながら体育館へ入ってくる。

Aの解釈を聞いた潔子も「確かに」と笑っていて、田中と西谷は「きっ、潔子さんが…笑っておられる…！！」と騒ぎいつもどおりの空気になった。

「Aがいると潔子さんがよく笑うしAも天使だしで最高だなあ！」

「おうよ！だからノヤっさんも絶対合宿来いよな！！」

お調子者コンビのやりとりを見て、澤村が「ありがとな」とAに言うと、A本人は何のことやらと小首を傾げた。