故意な事故は偶然です ページ24
学校のそばにある広い広いフィールド。
石畳で作られた塀と観客席が囲む中に芝生が敷き詰められている。
いつ見ても壮大な風景を見ながら、
箒に乗って会場を一周する。
「いやぁ、良い天気だねぇ、直樹くん」
目の前に浮かび上がる緑のユニフォームに声をかける
「はっ、試合前に余裕があるこったな」
「勿論、余裕しかないね。今日は校則に則って暴力を振るえる日だからね。先輩からもOK出てるし」
そう言いながら俺は目の前の敵の目を見て、
暴れ玉を打ち返すジェスチャーをする。
「頭に気をつけて」
そう言い放った言葉は、試合開始の音と重なった。
相手の顔に血が昇った所からして、耳には届いたようだ。
先輩達が点を重ねていく間、
箒で風を切り、足だけで支えながら両手を振りかぶる
まずはゴールキーパーを地面に落として、
その後の狙いは決まっている。
「私情挟みまくりのふっかは最強だな！」
残像程度にしか目で追えない速さですれ違う照から
最高の言葉を貰って、試合中なのに声を出して笑ってしまった
自分の思い通りに浮遊する感覚が気持ちい。
後ろから飛んでくるボールも手にとるように見える。
「逃げんな、よ！っと！」
「お前のその顔、Aに見せてやりたいね！この似非紳士野郎！」
最近俺の後輩のDNAに文句をつけたらしいこの男を、どうしても地面に叩きつけてやりたい。
Aの彼氏に集中攻撃する自分は大層悪い顔をしているだろう
「僻むなよ、最近彼女が口聞いてくれないからって、っおっと！」
怒り任せに打ち返された暴れ玉を避けると、後ろの観客席に突っ込んでいくのが見えて慌てて追いかける
緑の応援色に良い気はしないが、観客に怪我はよろしくない。
と思った自分の咄嗟の判断を誉めてやりたい。
『ふっか！』
観客席へ半分突っ込みながら、
寸前のところで打ち返したすぐ側から
聞き間違えることのない、愛しい子の声。
あぁ、もっと俺の名前を呼んでほしい。
隣のなべがなんか喋ってるけど、余計なこと喋ってなければ良いな。試合が終わったら聞いてみよう。
「君の彼女の箒！スピード最高だね！」
ターゲットの頭を打ち抜く前に、あえて口にした言葉は意識が飛ぶ前に届いただろうか。
試合中の暴れ玉の顔面衝突は事故だから。
くれぐれも観客席の父親に文句なんて言うなよ、と思いながら
丁度、照がスニッチを掴んだとのアナウンスが鳴って
試合終了を迎えた。
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浅野(プロフ) - 続きを楽しみにしてます！頑張ってください (2023年3月15日 12時) (
レス) id: 7738234d33 (このIDを非表示/違反報告)
菫(プロフ) - 素敵な世界観で一気に読んでしまいました！続きを楽しみにしています。 (2021年7月1日 12時) (レス) id: 53672676a1 (このIDを非表示/違反報告)
maya(プロフ) - めっちゃ面白くて今まで読んで、評価しかしたことなかったんですが、初めて感想書かせて頂きました！お時間あればぜひ続きが読みたいです！ (2021年4月16日 4時) (レス) id: fb06234f32 (このIDを非表示/違反報告)
薫乃(プロフ) - めちゃくちゃ好みのお話です！！更新楽しみにしてます！ (2021年2月22日 20時) (レス) id: 58fa025e8e (このIDを非表示/違反報告)
りえ(プロフ) - Abbさん» ありがとうございますー！とてもとても嬉しいです！魔法の世界について私も詳しい訳ではないので間違いなどかればご指摘ください！ (2021年1月18日 1時) (レス) id: 9a3bbadc3a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りえ | 作成日時：2020年12月22日 15時
