憧れと恋は紙一重【夜久衛輔】② (ページ33)

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厳しい言葉ページ33

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なんだっけ名前、確か " 西谷夕 " 中学の時にも名前は聞いた事があった。県外でも強豪校の注目選手は目につけていたし、彼はベストリベロ賞を取った事が有る実力者だ。私の中でも上位で凄い人という認識があった。そんな彼が夜久さんに向かって凄かったと賞賛を口にしていた。其れを聞いて何処か身内の様に喜んでしまった。

『 ( ふふ…そうでしょそうでしょ！夜久さんは凄いんだから！ ) 』

少し得意気に頷きながら会話に聞き耳を立てる。言い逃げる様に頭を下げて走って行く彼の姿を夜久さんは見詰める。そんな夜久さんの表情を確認すると眉間に皺を寄せ筒少し口角を上げ " 怖いっすね… " と呟いた顔を見て背中にぞくりとした何かを感じた。その場にしゃがみこんで顔を隠す様に腕の中に収める。

『 ( その顔もだめだってぇ… ) 』

高校に上がってからというもの、夜久さんの知らない表情を見る度に心臓が跳ねて仕舞う。好きという感情だと自覚してからはもう身体全体で夜久さんが好きだと叫んで仕舞うのを必死に抑えなきゃ今にも口にして仕舞いそうだった。

「なにしてんの？」

蹲って居る私の頭上から聞こえる声に吃驚して少し肩が震えた。聞き覚えの有る声に向かって少し巫山戯た様に返答すると溜息を吐かれて仕舞う。

『 …悶え中… 』

「 …何馬鹿なこと言ってんの、片付け終わったから集合だって」

まだ冷め切らない顔の熱を隠す様に頬を手で覆いながら立ち上がると、私の顔を見た研磨くんは目を丸くしたかと思えば少し笑った。

「なに、また夜久くんに何かされたか言われたの」

『んなっ…ち、違うもんっ』

幼馴染みというものは全部分かって仕舞うのだろうか。多分、私の気持ちもお見通しなんだろうなと理解する。しかも " また " という事は私と夜久さんの間で何かあったと云う事もお見通しらしい。

『研磨くんって…何処まで気づいてるの…というか知ってるの？』

「 …夜久くんから何か聞いたとかでも無いけど、Aが朝練休んだ頃ぐらいから2人ともいつもと違うなって思ってた」

『 ……こわ… 』

鉄兄の勘の鋭さとは違う。感じ取った空気とか言葉や行動で確信を得て居るんだと思う。特に私は昔から分かり易いって研磨くんや鉄兄に言われてた。思った事が口から漏れると少し頬を抓られて仕舞う。

『いひゃい… 』

「馬鹿なAに一個アドバイスするとするなら、悠長な事考えてて誰かに取られても知らないよって事かな」

『ぇ… 』

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