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気付いてはいけなかった音と熱 ページ33

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「 夜久さん!Aさんが怪我しちゃったみたいで… 」

声を掛けると焦った様子の芝山が俺に駆け寄り説明する。足首をずっと抑えてるAの姿を見て顔を歪ませた。俺に心配を掛けまいと思ったのか慌てて立ち上がろうとするAはやはり痛みで立ち上がれなかったのかよろけてしまい、前に倒れ込む。其れを阻止する様に足を動かすとAの事を抱き留めた。其の儘もう一度その場にゆっくり座らせ、芝山に黒尾を呼んでくる様に頼んだ。Aの足元から視線を上げ見詰め合う形になると慌てて目を逸らされた。

「 A…ちょっと触んぞ… 」

傷んだ箇所を把握する為、やっぱり女子なので急に触れるのは駄目だと冷静な頭で判断しながら断りを入れ、Aの足首に触れた。少し指の腹で押したりしながら折れてるとかそういうのでは無く、捻ってしまったのだと把握する。少し揺れたAの様子にやっぱり痛いのだろうと考えながら帰るべきだと判断した。黒尾が来たら説明して連れて帰ってもらうかと顔を上げると思ったより近い位置にAの顔があり、吃驚して肩が揺れた。

「 ( っ…ちっけ……… ) 」

今の状況を頭で理解する。近過ぎる距離に絡み合う視線、倉庫内というだけあって物が多い所為で狭い。すぐAから目を逸らそうとするも、Aの瞳が少し潤んでるのに気付いた。瞳が揺れ、頬は暗くて見えづらいが、薄ら赤く染まって居るのが見える。僅かに上目遣いになって居るのも俺の心臓を動かすのには充分だった。こういう時に限って頭で考える寄りも先に身体が動いてしまうのは俺が男な所為なのだろうか。足首に触れて居た手をゆっくり動かし、Aの赤い頬に触れる。

「 ( う……わ……熱…、つか……やらけ… ) 」

Aの熱が触れて居る手に直に感じる。その熱が移るかの様に自分の身体も少しずつ熱を増し、ドッドッと鳴る心音が大きく感じる。女性独特の肌の滑りと柔らかさに理性というものが弾けそうになるのを必死に抑えてた。此の儘この柔らかい頬を撫でながら顔を近付けて仕舞いそうになるのを脳が駄目だと制止する。

僅かな時間しか未だ過ごして居ないがちゃんと後輩として可愛がっていたし、懐かれてるのにも気付いてた。今の俺の行動は先輩としてやってる事では無い。心臓の音と沸き上がる熱を気付いた事すら消す様に蓋を閉めた。Aの声が聞こえた瞬間頬から手を離し、頭を撫でる事が、今の俺がするべき事だと理解した。





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声に出して自覚する→←君の兄 俺の友人



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omo(プロフ) - 天ヶ瀬さん» またコメントしてくださるなんて嬉しいです🥲💗 細かく書くのが好きでなかなか時間が進まなくてすみませんが気長に緩くお楽しみください😭💗 (3月23日 23時) (レス) id: 7819485fc9 (このIDを非表示/違反報告)
天ヶ瀬(プロフ) - わ〜〜😭😭続きめちゃくちゃ気になりますいつも更新楽しみにしてます‼️‼️💖💖 (3月23日 23時) (レス) @page45 id: 2303c9977f (このIDを非表示/違反報告)
omo(プロフ) - 天ヶ瀬さん» ありがとうございます🥲こんな早くコメント頂けると思ってなかったのでとっても嬉しいです😂💗きゅんきゅん目指して頑張るのでこれからも宜しくお願いします😆✨ (3月6日 23時) (レス) id: 7819485fc9 (このIDを非表示/違反報告)
天ヶ瀬(プロフ) - もうすでに大好きです😭😭やくさん大好きなので嬉しいです更新ありがとうございます😭💗 (3月6日 21時) (レス) @page3 id: 2303c9977f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:omo | 作成日時:2024年3月6日 1時

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