NEWSくんのおはなし。 (ページ5)

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「イライラする…。俺がいるのにシゲ、シゲ、って。なんでなの。俺だって可愛いじゃん。歌もうまいし、ダンスも上手いし。だいたいシゲもさぁ、普段塩対応なくせに慶ちゃんが取られそうってなったら俺のだし、みたいなさ。都合良くない？」

シゲは黙って俺を睨んでくる。

「まぁさ、そこまで慶ちゃんじゃないといけないって訳じゃないんだけどね。声かければ来てくれる子達なんて沢山いるし…」

その瞬間、乾いた音が部屋に響き、視界が大きく揺れた。
シゲに殴られたと理解するのにそう時間はかからなかった。

「ふざけんな。」

シゲはそれだけ言うと、俺の横を通り抜け、慶ちゃんを連れて出て行った。

バタン、と玄関のドアが閉じて、部屋は静寂に包まれた。

「…はぁ。」

俺がどう頑張って、気を引こうとしても、俺のことなんか見てくれない。

鏡に映った自分と目が合う。

髪色は派手になったのに、中身は昔と何も変わらない。大切なものを手に入れられない。

暗い部屋の中、殴られて痛む頬をさすった。

END