俺を見てよ（腐向け） ページ3
「ねぇ…やめて。」
お酒が入って力が入らなくなった手で俺を押す。
「駄目だってば。どいて…。」
「やだ。」
顔を近づけるとぐいっと自分の顔を逸らす。
「ねぇ手越。お前酔ってないんだろ？やめろよ。」
「酔ってないよ全然。ちょーシラフ。」
隙をついて慶ちゃんの唇に自分の唇を押し付ける。
「やめろよ…！」
「なんでそんなに怒るの。今までも沢山してきたじゃん。」
「今までとは訳が違うだろ。知ってるでしょ。俺とシゲのこと。だから酔ったとしてもキスするのはやめるって言ったじゃん。シラフとか尚更。」
だから離れろよ。
そう言って俺の下でバタバタ暴れる。
「シゲばっかり。」
慶ちゃんは俺にデレデレだ。
慶ちゃんが俺を好きなのは事実。俺が慶ちゃんを好きなのも事実。
でも慶ちゃんが俺に向けている好きは、メンバーとか可愛い弟とか、そんな感じ。
俺は今までずっと真っ直ぐに慶ちゃんに好きだと伝えてきた。なのに、慶ちゃんの恋愛の好きはシゲに向いている。
俺のシゲちゃん。なんてさらっと言っている。
シゲは慶ちゃんへの対応が冷たい時もあるのに。好きって言われてもはいはいって流すのに。
それなのに、ちょっと奪われそうになったら、小山は俺の。感をものすごく出してくる。
正直言ってむかつく。俺だって恋愛の好きなのに。
「手越、俺小山と付き合うことになったから。だからもう冗談でもキスとかするなよ。」
なんだそれ。なんだそれなんだそれ。
冗談っぽくしてたけど本気だったし。そもそも同性に恋愛感情が向いてしまうことが変だと思って必死に隠していたのに、向こうは付き合うなんて言ってきて。俺の今までの努力はなんだったんだ。はは。
暴れる慶ちゃんを押え付ける。
「なんでシゲなの。俺はシゲにどこで負けたの。俺の方が絶対良い。」
慶ちゃんはにや、と笑って言った。
「確かに手越も可愛いよ。でもね、俺はシゲが好きなの。普段は塩対応だけど二人の時はすっごく可愛いんだよ。」
聞きたくない。そんな話聞きたくない。
シゲ、と慶ちゃんの口からその名前が出てくるだけでイライラする。
腕を押さえつけてもう一度唇を押し付ける。
全力でけいちゃんは逃げようとする。
そんなに嫌なのか。
シゲという一人の相手ができると、たとえメンバーであってもキスするのがそんなに嫌なのか。
その時慶ちゃんのスマホが鳴った。
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作者名：おもち | 作成日時：2020年3月7日 16時
