真実 ページ27
「怪我の治療費は全部こちらに払わせてもらうし、美月は退学にさせて、二度と裏川さんと天乃くんの前に現れないようにする」
予想とは違い理事長先生がまともな人だったため、証拠を警察に提出するまでもなく、花園さんが退学になった。
「本当にすまなかった」
理事長先生が、もう一度私に謝る。
これでやっと、終わるのか。
今まで、長かったような短かったような。日数的に言うと短いが、体感ではロボロと出会ってから1ヶ月くらいたった気分だ。
「A…?A!大丈夫か!」
あれ…?なんかくらくらする…
シャオロンの声が聞こえるが、それに返事をする気力もない。
あ。
「A!A!」
「おい!裏川!大丈夫か!」
急に目の前が真っ暗になった。
次に目が覚めたときは、病院だった。
あぁ、倒れたのか…私…
そう思い、周りを見渡すと、ロボロがいることに気づいた。
「A…A…」
ロボロはまだ、私が目覚めたことに気づいていないようだ。泣きそうな表情で私の手を握り、何度も私の名前を呼んでいる。
「すまん、A…実は俺、ストーカーのことあんま困ってなかったんや…」
ロボロが、今にも泣き出しそうな声でそう言う。
面白いものが聞ける気がするから、まだ寝たフリをしていよう。
「本当は、シャオロンと鬱先生と、一緒におる女がいるって聞いたから…どんな女か確かめたかったんや…」
なるほど。だからときどき、苦しそうな表情をしていたのか。そんなこと全然いいのに。
手になにか生暖かいものが伝う。なんだろうと思い、うっすら目を開けると、ロボロが泣いていた。
「すまん…こんなことになるなんて…」
『それで、どんな女だった?最高の女?』
ロボロが驚いた表情をして、固まる。そうしたかと思うと、顔をくしゃっと歪めてさっきよりも大量に涙を流しはじめた。
「あぁ、最高の女や…!すまん、本当にすまん…!」
『全然気にしてないよ。最終的に、助けるって決めたのは私だし、ロボロを助けたのは私のエゴだから』
ロボロが私に助けを求めたのもエゴ、私がロボロを助けたのもエゴ。これでお互いさまだ。
『全部ロボロの責任にしないでよ』
そう言うと、ロボロが私のことを抱きしめてくる。
ど、どうしよう、ハグなんて家族以外に初めてされた…
54人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
き - 誰か助けて〜が、某企画の冒頭みたいでちょっと笑った (5月3日 10時) (レス) id: 9ec322cca4 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:せい | 作成日時:2022年8月17日 18時