転校生と主役たち【wrwrd】 (ページ20)

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諦めページ20

「そのまんまの意味や。Aはもう俺に関わらんでくれ」

心がズキズキと痛む。言われるとわかっていても、いざ、言われると、やっぱりつらい。

「そうすれば、花園も、もうAに手を出さんと思うから_____」

『ロボロはどうするの？』

「大丈夫、俺が我慢すれば済む話や」

『そっか…わかった…』

わかるわけないだろう。ロボロが我慢すれば済む話？そんなの私が許さない。絶対にロボロを助けてみせる。

そのためには、一旦ここは引いて、後から裏で動こう。

潔く引いた私を、鬱先生が見つめてくる。きっと疑問に思っているのだろう。

そりゃ、前回保健室で会ったときに絶対助けるって熱弁してたやつが、急に潔く諦めたら疑問に思うわ。

『じゃあ、私、そろそろ帰ります…』

「Aちゃん、俺、神木しんぺい。保健室の先生やってるから、何かあったらすぐ来てね」

そう言い、ぺ神先生が自己紹介をしてくれた。

『ありがとうございます。じゃあ、さようなら』

今日の帰りはひとりぼっちか。ロボロとの関係はもう終わりだし、シャオロンはまだ委員会の仕事が残っている。

「待ってAちゃん。俺が送ってくわ。一緒に帰ろう」

今までずっと真顔だった鬱が話しかけてきた。今はいつも通りのヘラヘラとした笑みを浮かべている。

『いいの？ありがとう』

鬱先生に返事をし、2人で保健室をあとにする。

「Aちゃん、ほんまは諦めてないんやろ？」

学校を出た瞬間、鬱先生がそう聞いてくる。

『当たり前。絶対助けるって言ったじゃん』

前、鬱先生には言ったが、女に二言はないのだ。
一度助けると宣言したんだから、絶対に助ける。それが私だ。

「…なぁ、もし、俺が助けてって言っても、絶対に助けてくれるん？」

鬱先生が、少し困ったような、そんな顔で聞いてきた。
相変わらず、口元は笑ったままだ。

『助けるよ、絶対に』

私は歩くのをやめ、鬱先生の方をまっすぐ見て、そう伝える。

鬱先生も、私に合わせて歩くのをやめ、真顔でこちらを見つめてくる。

不思議と、その顔に保健室で見たときのような怖さはなく、ただただ無心で彼を見つめる。

数秒後、鬱先生が

「そっか」

と言い、微笑み、歩き始めた。鬱先生の表情の中で、今までに見たことのない、優しい微笑みだった。