アフターパーティーで。 ページ2
男子フリーの2日後。
今年の世界選手権後も、毎年恒例のアフターパーティーが行われている。
｢一希〜。好きな人でも出来た？｣
｢へっ？｣
いきなりそんなことを聞いてきたのは、織田さんだ。
｢いや〜、ここ数日の一希のスケート、なんか色っぽいなぁ、と思ってさ。｣
｢そうですか？別にいないですけど‥‥。｣
僕が少し照れて言うと、
｢これはいるな。｣
と一言。
｢え？いやいやいや。｣
笑ってごまかすと、
｢ゆずーーーっ！一希、おるでーー！｣
と、向こうのほうで食べ物をよそっていた羽生さんに、一声。
羽生さんは、｢やっぱりー！｣と言って、こっちにトコトコと走ってきた。
｢で？一希、どんな子？？｣
ニヤニヤして、面白そうにしている。
｢だから、何がですかって！｣
｢当たり前じゃん、好きな子だよ。｣
ショートケーキを立ったままパクパクと食べなから、羽生さんが言った。
｢いや高校生か！｣
｢え、普通に気になるよ。で、どんな子なの？｣
なんでだ。
昨日のあの子の笑顔が、あの花の匂いのように、ふわっとよみがえった。
それと同時に、僕の方を見ない彼女の横顔も、よみがえる。
こっち向けよ。
やべ。口に出ていなかったか、と焦ったが、大丈夫そうだ。
｢もう、絶対いるよね〜。｣
二人はなんだか楽しそうだ。
さっきのあの気持ちはなんだったんだろう。
むずがゆい気持ちを無視して
｢い！な！い！で！す！！｣
と二人に言い残し、逃げるように、食べ物をとりに行った。
モヤモヤしたものが、胸にたまったまま歩いていると
｢ねえ一希ヤバイ！｣
真凛ちゃんだ。
｢え？｣
｢なんかさっきね、映画監督に会っちゃった。この前、みんなで見に行ったあの映画の。｣
｢え、まじで‥‥？｣
｢うん、ヤバくない？！しかも女の子。めっちゃ可愛かった！｣
真凛が興奮ぎみに言う。
｢え、待って会いたい！話したい！サイン欲しい！｣
｢あっちの、写真ブースの方にいたよ。｣
｢サンキュっ。｣
僕はワクワクしながら、小走りに真凛の言っていた方に向かった。
そういえば、具体的な見た目を聞いて来ていないので、誰か分からない。
｢すいません、このへんに『SS 席の彼』の監督がいたって聞いたんですけど。｣
立っていた人に聞く。
｢ああ、あの人だよ。｣
手で示された方をふりかえる。
嘘だろ。
心臓がドキンといった。
数人の人に囲まれて、サインをせがまれているその困り顔は、誰であろう、あの女の子だった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 8人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
サクラ - はらさん» ご指摘ありがとうございます！！助かりました(>_<) (2018年5月25日 0時) (
レス) id: ebff37a161 (このIDを非表示/違反報告)
はら - オリジナルフラグをちゃんと外して下さい (2018年5月24日 21時) (レス) id: 6df54d9be3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：サクラ | 作成日時：2018年5月24日 21時
