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三十五 ページ36

Aside


ーーーーーまた、昔の夢を見た


私の体調が珍しく良くて家の目の前で腰掛けて川を眺めていた時のこと


その川では翹英荘の子供たちがよく水遊びをしていた


その日も私はその様子を観察しながら一人、何をするまでもなく段差の淵に座る


父と母から水の中に入るのは体に障るからと禁止されていたから


まあ、久々に外に出れただけでも僥倖だ


そう思ってぼーっとしていると何人かの子供が私に近づいてきた


よく嘉明とも一緒に遊んでいる近所の子たちだ


男の子「なぁ、お前あそこん家の子だろ?座ってないで水遊びしようぜー」


女の子「とっても気持ちいいよ!」


したいのは山々なんだけど…と思い理由を話そうと思ったが当時の私は両親以外とあまり話す機会がなく


今よりももっと口下手で咄嗟に言葉が出てこなかった


そんな私の態度に緒を切らした少年は座っていた私の手を引いて水の中へと誘った


『ま、待っ……て!』


女の子「なんで?一緒に入ろうよ〜」


男の子「怖くないから!」


多分、私が水を怖がっていると思ったのだろう


違う。そう言えばいいのに言えなかった私は男の子が引っ張る力に必死で抵抗するが


体力のない私の力なんて男の子に比べたら非力もいいところでどんどんと川の中へ引っ張られていった


そんな時だった


後から合流してきた嘉明が私たちを見つけて急いで駆け寄ってきて


嘉明「Aは駄目だ!手を離してくれ」


事情を察したのかすかさず止めに入ってくれた


男の子「なんでだよ、ちょっとくらいいいだろー」


『きゃ………っ』


珍しく嘉明が自分に対して好戦的な態度をしてきた事が面白くなかったのだろう


男の子は私の手をさらに引こうとしたんだけど


嘉明「駄目だって!!」


女の子「が、嘉明くん……」


今まで聞いたことのない嘉明の大きな声に皆ピタリと止まって


男の子が呆気に取られている間に嘉明は私の手を引いて座れるところまで移動してくれた


私せいで嘉明とあの子達の仲が悪くなったらどうしよう


そんなことを考えていたっけ


嘉明「大丈夫。Aは気にすんな」


嘉明はそれさえも察したように、腰掛けた私の頭をぽんぽんと優しく撫でた


その後は川の方に戻って私が水遊びをできない理由を簡単に説明してくれたようで…


嘉明は昔から敵を作らない


誰かのために行動出来る人間なんだって幼いながらにそう感じていた

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おりんぽす(プロフ) - るみさん» 率直なご感想ありがとうございます!とても嬉しいです☺️更新のモチベにつながります˚✧₊⁎ (2月26日 20時) (レス) id: f4e7ffa9c5 (このIDを非表示/違反報告)
るみ(プロフ) - 好きです(コメント失礼します)大事なことなのでもう一度言います(?)好きです!!! (2月26日 1時) (レス) @page38 id: 270f4769cf (このIDを非表示/違反報告)
おりんぽす(プロフ) - 星空ブリキさん» 以前も万葉くんの小説にコメントくださいましたよね…?!変わらず応援してくださって本当に嬉しいし励みになりますありがとうございます😭!嘉明くん推しなんですね!彼の魅力を引き出せるよう頑張ります! (2月15日 10時) (レス) id: f4e7ffa9c5 (このIDを非表示/違反報告)
星空ブリキ(プロフ) - おりんぽすさんの作品をいつも楽しく拝見してます! まさか推しの小説を書いている……………!!? めっちゃ嬉しいです! (2月14日 16時) (レス) id: 2cdbc326e2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:おりんぽす | 作成日時:2024年2月12日 21時

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