瑞兆は白花を咲かす【嘉明】

十 ページ11

Aside


久々の感動的な再会……かと思いきや


初めましてといわんばかりに嘉明から自己紹介をされる私


小さい頃は毎日顔を合わせていたのにこんなのってアリ…？！


嘉明「確かに。言われてみれば……」


『ちょっと待って近すぎる』


まじまじと私の顔を見つめて遠慮なしに迫ってくる嘉明


そんなにじっくり見ないとわからないのか


嘉明「綺麗になってたから分からなかったんだ。Aも女の子なんだし化粧をするようになったんだな！

あぁでも…相変わらずオレより小さいままだな、身長は。」


嘉明の言葉にはたと気づく


そういえば…私、化粧されたんだったっけ


化粧てそんなに顔が変わってしまうんだ……


まぁ、化けるって書くほどだもんね


『普段はしないんだけど今日は無理矢理されたの………

って、待って？誰が小さいって？？』


聞き捨てならない。身長は昔から気にしているのに！


嘉明「オレの方がAより大きかっただろ？昔から！

それがもっと差が開いたかなって思っただけ」


あははと楽しそうに笑う嘉明に思わず頬を膨らませそうになったが仮にも私の方が嘉明より年上だ


数年ぶりに会う幼馴染が子供っぽいままだと思われるのは嫌だ…！


湧き出る不満を鎮めて改めて久方ぶりの嘉明を見る


背が伸びたことは認めよう


認めるけど本人には言ってやらないことにする


それに少し凛々しくなったかも


でも相変わらず、話し方も雰囲気も昔の嘉明のまま


目がいつでもキラキラしていて存在そのものが陽


そんなイメージを持たれるのが嘉明という人物


……でも、前より更に磨きがかかった気がする？


数年も会っていなければ変わるものか…


嘉明は私と違って外に出て一人でやっていたわけだし


変わったところも変わっていないところも含めて


先ほどからかわれた分の不満はどこへやら


やっと拝めた幼馴染の笑顔に私もつい顔が綻んだ


『おかえり…って言うのもあれだけど…

久々に会えて嬉しい。改めて道中よろしくね、鏢師さん』


私の挨拶に夏の太陽のような笑顔を返す自慢の幼馴染


嘉明「任せろ！Aも荷物も無事に璃月港まで届けてやるからな」


もちろんだけど嘉明に寄せる信頼は大きいものだ


空いた時間はあれどやはり彼の人柄は信用に値する


再会前の緊張など当に忘れて私は嘉明の笑顔に安心した

十一→←九

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す