風をきって ページ36
『あーーーーーー！気持ちいい！』
少し息を切らしながら額に滲んだ汗を拭う
ティオ「…はぁ、はぁ、、、っ、こんなに走ったの、子供の時いらい、で、、はぁ」
隣には膝に手をつき荒い呼吸を繰り返すティオ
『ごめんなさい、ちょっとお転婆すぎたわ』
ティオ「い、いえ……それにしてもAさんは運動が得意、なんですね…
僕なんか、もう、へとへとで………ふぅ」
ドサリとその場に腰を下ろすティオ
わたしも続くようにして隣に腰を下ろした
『たまにはいいんじゃないかしら、思いっきり走って風をきるのは気持ちいいのよ
それこそ子供の頃に戻ったみたいで』
男のレオナと双子だった影響なのか
わたしは小さい頃から体を動かす事が得意で走るのが大好きだった
『本当に久しぶりに走ったわ
付き合ってくれてありがとうティオ』
ティオ「……ッ！…いえ、僕こそ色々予想外でとても楽しかったですよ
…やっぱり、Aさんはとても素敵です」
『…え？！』
頬をほんのり赤く染めて、いきなりそんなことを言うものだからわたしも面食らってしまった
そんなわたしをよそに、更にティオは言葉を続ける
ティオ「最初はただのお見合い相手の女性としか思っていなかったんですよ
両親に貴女の写真を見せてもらって、綺麗な人だなぁとは思いましたけど
…あの日、僕が初めてNRCのマジフト大会を観戦した日
少し先の席で、写真でみた貴女を見つけました
試合を見て一喜一憂して、一生懸命応援するとても楽しそうな貴女が微笑ましくて
気がついたら僕、試合より貴女のことを見ていたんです」
笑っちゃいますよね、と困り眉で微笑むティオ
まさか、ティオはそんな時からわたしの事を知っていたんだ
ティオ「それで、気づいたんです
貴女が熱心に目線で追っている選手がいることに
割とすぐ分かりました
貴女は、彼のことが大好きなんだろうなって」
『……ティオ』
ティオ「分かっていて、貴女に婚約を申し込んだんです
ただ、あの笑顔が近くで見たかった
隣で見ていたかった
本当に、、わがままなんです。僕
だから貴女が快諾したと聞いたときは本当に驚いて
夢かと思ったんですよ？」
そんな大事なこと
ティオにとってはとても大事なことを
彼は更々と紡いでいくから
わたしは黙って聞いているしかなかった
彼の口から、次の言葉を聞くまでは
ティオ「それで、Aさん
貴女との婚約を、破棄、させて欲しいんです」
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おりんぽす(プロフ) - 鈴錬さん» ありがとうございます。ひっそりと書き始めたものだったので応援のお言葉を頂けるとは思わず、とても励みになりました。ゆっくりペースですが更新頑張っていきたいと思います。 (2020年9月22日 18時) (
レス) id: 8fe1ab7092 (このIDを非表示/違反報告)
鈴錬 - 今日一気読みしちゃいました！めっちゃ楽しく読んでます！続きも楽しみなのでこれからも応援してます！ (2020年9月21日 22時) (レス) id: 4853e54ef6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おりんぽす | 作成日時：2020年5月30日 0時
