お見合い相手がやって来た【忍たま】

【二十八】　幽霊案内 ページ28

幽霊が喋って、腰を抜かして床に座り込んだ。
一言で、もうヘナヘナ状態。

「おい」なんて話しかけられると吃驚してしまうだろう。
しかも幽霊に。


「･･････大丈夫ですか」

手を差し伸べられたので手をよく見るとしっかり見えていた。
幽霊なら透けているのかとばかり思っていたけど。
そう言う幽霊もいたのか。


(優しい幽霊さんなんですね)

差し伸べられた手を取るとちゃんと握れた。
顔は暗くて見えないけれど。


『ありがとうございます』

ゆっくりと立ちながらお礼を言うと無言タイムが登場。
幽霊さんシャイ？


『･･････体温、温かいですね。冷えてそうに思えたんですけど』

幽霊さんですし。
温かいなんて意外です。

「･･････」
あまり喋らない辺り本物の幽霊って感じします。


『それと、透けてないんですね』
「はい？」

『ですから、透けてないんですね』
「･･････変態なんですか」

『え？』
「ん？」


体が透けているものかとばかりに思っていたんですけど。
あ、幽霊は幽霊でも透けてると変態に目をつけられちゃうんですね。


幽霊は男だった。
そして今のところ手を握っている状態だ。
自分だけぎゅっと。

三郎さん一筋だから何ともないけど、
んなことより怖い。

何処に進めば右なのか左なのか上なのか下なのか雲の上の楽園なのか。
全く分からないし忍術学園、というところは危ない場所と聞いたから
気をつけないと。



「ちなみにどちらに行かれるんですか」

え、エスコートもしてくれるのかこの幽霊さんは。

『･･････夫の元に』
「あ？」

『間違えました、三郎さんのところに』
「･･････あぁ、そう言うことですね」


一瞬毒舌的な台詞は聞こえたけど案外そうでもないみたい。
怒ってるわけでもなかった。
さっきの「あ？」は。



軽く引っ張られ少しだけ数歩歩いてみると、
「ここです」
と幽霊さんが言った。
場所知ってたんだ、否それより凄く近かったですね。

数歩歩いたら三郎さんの部屋なんてそんな･･････。

そう思っていたら部屋から誰かと話している三郎さんの声が聞こえた。
正解じゃないか、ここじゃないか。


『なにからなにまでありがとうございましたっ、幽霊さん！』


お礼だけ言って部屋の襖を開けた。
返事を聞かないのは悪い癖なんです。





「幽霊？」


　

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