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11. 番 ページ11

「だ、駄目!」

亮の肩を押し返そうと力を入れたが、びくともしない。

これ以上近付かれると気が狂いそうだ。

意識も朦朧としてきて、もうどうでもいいと言いたいくらいだ。

「A」

突然の言葉に驚く僕の目を捉え、口を開いた。

「なあ、噛ませてくれよ」

「あ……や、」

懸命に首を横に振る。

それが答えなのだけど、亮は聞こうともしない。

「A……A」

目がとろんとして、苦しそうだ。

“早く助けてあげないと”

「やだ……やだよっ!」

抵抗しても無駄だと分かっているけど、それでも……!

「Aっ」

「何をしているんだ!」

突然響いたのは先生らしき人の声。

数学の立花先生だ。

「せんせ……」

「……こいつが、こいつがいけないんですよ
フェロモンバンバン漂わせて」

「どっちが悪いとかそういうんじゃないし……
A、抑制剤は」

「あ、あの。切らしていて」

「マジか……。
濱明だっけ、……お前は帰れ。
ちゃんと頭を冷やしてな」

お前はこっちだ と言わんばかりに、僕の腕を引っ張り、出口に案内する先生。

「行くぞ」



「あの……先生」

僕を連れて向かった先は先生の車。

送ってやる、と一言口に出し、車に乗り込む先生に問いかけた。

「先生はαなのに、何故僕のフェロモンが効かないんですか」

自意識過剰では無いが、僕のフェロモンは強いと言われているので少し気になる。

やはりαにもフェロモンに負けないように薬を飲んでいたりするかもしれない。

「効かない……?」

「え……?だって、僕を」

助けてくれた と言おうとした時、突然辺りが真っ暗になった。

……否、先生が馬乗り状態になっているのだ。

「はは、お前のフェロモン効いてないなんてあり得ないだろ。

連れ出したのはお前を占領するため」

先生の目が、獣の様にギラギラと光っている。

「え、せんせ……ん」

言い終わらないうちに唇に何かが当たる。


キスを、された?

数秒後に現実を理解し、暴れるも相手は大人。

しかもαとΩだ。力の差で言えば半端ではない。

「ん……ふ、」

全然抵抗出来ないまま、時間だけが過ぎていった。

12. 病院にて→←10. 理性と本能



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設定タグ:BL , オリジナル , オメガバース   
作品ジャンル:恋愛, オリジナル作品
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- komeさん» この作品に対してそのような感情たちを向けられたこと、とても誇りに思います。とてもとても嬉しいお言葉ありがとうございます。 (6月12日 15時) (レス) id: b145d6d25c (このIDを非表示/違反報告)
kome(プロフ) - とても面白い作品に出会えて嬉しく思うと共にもう終わってしまったのかと喪失感もあります。本当にお疲れ様でした。 (6月12日 13時) (レス) @page50 id: 4c2006e05c (このIDを非表示/違反報告)
おパンツドラゴン - え?何やってるんだろ.....頭おかしくなったんかな(((自分に言ってます (2020年6月20日 20時) (レス) id: 981305fe40 (このIDを非表示/違反報告)
おパンツドラゴン - https://images.app.goo.gl/B3CiPe8WwDTRdNTL8 (2020年5月30日 18時) (レス) id: 981305fe40 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 不知火 綏狐さん» ありがとうございます!お互い頑張りましょうね! (2018年11月11日 23時) (レス) id: a87c411005 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2017年10月16日 20時

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