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入学式はつつがなく進行した。
「新入生代表挨拶、水羽多A」
「はい」
なんの自慢にもならないけれど、私は今年の新入生代表に選ばれた。
選抜科というだけでもこの学校では羨望の対象だが、その中でも選ばれし五人の特待生、その一人が私というわけだ。
壇上に上がり、軽く見回す。これが私の同級生たちか。
その中に、一人。懐かしい顔を見つけたような気がして苦笑する。
これだけ人数がいるんだ。似ている人がいてもおかしくないだろう。
あいつがここにいるはず、ないもんね。
「桜の花が咲き始め、暖かな日差しが降り注ぐようになりました。────」
「────以上をもちまして、新入生代表の挨拶とさせていただきます」
なんとか噛まずに済んだ。
思っていたよりも緊張はしなかったな。
何はともあれ、これで先生や先輩方に顔を売ることはできただろう。
「──水羽多、A……？」
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作者名：お抹茶みるく | 作成日時：2023年12月17日 17時
