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てつやside
虫「おかえりー」
と「A送ってきたん、お疲れ」
ゆ「にしてもさぁ、りょうくん、あれはダメだよ」
り「えー、笑」
し「彼女いるのにさぁ、女の子泊めちゃマズイやん」
り「だって、」
て「だってもさってもあるか!」
り「え、何?」
本当に、福尾亮という男は。
こういうところが気に入らない。
て「Aがどんな気持ちでここまで来たかもわからん癖に」
あいつが、どんな思いを抱えて高校生活を送ったのか。
どんな気持ちを抱えて、お前に会ったと思っているのか。
何も、分かっちゃいない。
り「何、分からんやん。そんなの」
エスパーでも、なんでもないんだよ?というこの男が憎らしい。
て「あん時____、」
『てつや、もうダメだぁ、私』
『好きなのに、りょうくんのこと、大好きなのに』
『応援、してあげられない』
忘れもせん、あの夏。
て「馬鹿やげ、お前は」
り「……」
言い過ぎた、と途端に冷静になる。
て「っ、ごめん。頭冷やしてくるわ」
Aside
あの時、りょうくんはどういう気持ちでああ言ったのか。
『俺ん家、泊まればいいやん』
なんて、思わせぶりな言葉で。
りょうくんが好きで、大好きで。
あの人に彼女が出来た日に、てつやと一緒にガストへ行って沢山泣いた。
『ダメだよ、私、応援できないよ』
『好き、なのに』
て『いいんだよ、好きなまんまで』
そう言ってくれて、嬉しかった。
私はまだ、好きでいていいんだって、自信をもてた。
だけど。
「もう、諦めなくちゃ」
りょうside
Aが家に着いてから、他のメンバーに褒められて、満更でもない君に、何故か腹が立って。
り『A、』
と思わず名前を呼んでしまった。
酷いやつだと、自分でも思う。
勝手にフッて、勝手にほかの子と付き合って。
挙句の果てに、嫉妬までするなんて。
てつやに、何も知らん癖に、と言われたとき、咄嗟に返事が出来なかった。
その通りだ、と自分で気がついていたから。
何も、知らなかった。
好きなんだ、君のことが、好きなんだと。
そう気がついているけど、高校時代の気質は抜けない。
好きな子ほど、いじめたくなるなんて、中学生でもしない。
嫉妬して欲しくて、付き合ったんだ、とか。
告白を断れなかったんだ、とか。
そんな言い訳をしても、きっと君は、信じてくれないだろう。
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作者名:おまめ | 作成日時:2023年4月3日 2時