言えないよ ページ44
『言えない。』
降谷「え?」
降谷さんは素っ頓狂な声を出した。
その弾みに抱きしめる腕も緩くなった。
『ごめん…言えないんだ。』
一瞬の隙を見て、降谷さんの腕を解いた。
温もりが一瞬にして冷めていく。
降谷「僕にも言えないことなのか…?」
『うん…これは誰にも言うつもりは無いから。』
これ以上優しくされたらきっと私は口を滑らせてしまう。
だから、あえて突き放すような態度をとった。
降谷「っ……
なんでだ? 僕では頼りがいがないのか?」
『そんなことないよ…
逆に頼りがいありすぎるくらいだから。』
私はニコッと笑って言った…つもりだ。
果たしてちゃんと笑えてるのだろうか?
『あのね、これはもう終わったことなの。
だから話す必要は無い。
降谷さんにも誰にも関係ない。』
降谷「関係なくない!!」
いきなり降谷さんが感情的に大声を出したから少し驚いて言葉が詰まった。
降谷「“もう終わったこと” って言ってるけど違うだろ?
それに僕…“一人で抱え込むなよ” って言っただろ?
何かあるのなら聞くから…」
『関係ないって言ってるでしょ!!』
降谷「…」
『ねぇ、これ以上優しくしないでよ…
私の過去を知ってなんの得になるの…』
降谷「損 とか 得 の問題じゃない。
単純にAのことが知りたいんだ。」
真っ直ぐな向日葵のような瞳が私を見つめる。
その度に心が揺れる。
(今、彼に話せば楽になれる…
でも私の “本当の本性” が分かっちゃう。
そしたら、降谷さんは私を軽蔑するよね…)
心臓が脈を打つ度に考えがぐるぐると回る。
降谷「前にも言ったけど僕は…
花栗日菜 じゃなくて、“水琴A” の事が知りたいんだ。」
(もうやめて…
そんな真っ直ぐ見つめられたら話してしまうじゃん…)
そして心の声はストンと落ちるように口からこぼれた。
『本当の私は…花栗日菜より水琴A より、
ずっと “最低” な人間だよ。』
559人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
景璃(プロフ) - いい意味なんですけど!あのこんなにも赤井さんとコナンがムカつく存在になったの初めてです!仕事の邪魔された上にある意味死にかけたのに…主優しすぎる…私ならブチ切れてますもんwwこれからも応援してます。 (2022年3月10日 3時) (レス) @page47 id: 0eef4a91ab (このIDを非表示/違反報告)
ゆあら(プロフ) - 寝子さん» ありがとうございます!素直にすごく嬉しいです!!これからもよろしくお願いします。 (2021年6月13日 13時) (レス) id: 1ce9c1d09e (このIDを非表示/違反報告)
寝子(プロフ) - 面白いですね!これからの展開が楽しみです!更新がんばってください!! (2021年6月13日 7時) (レス) id: 031b8fe371 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:パセリ信者 | 作成日時:2021年6月11日 22時