兄の活躍と、突撃お宅訪問!? ページ5
『兄さん、すっごい!』
あのライブから数日後。録画しといた兄さんたちのライブの中継を観ていた。
『活躍したんなら、教えてくれればいいのに』
兄さんのことだから、僕じゃなくてみんながすごいんだよ、って言いそう。この後、特に仕事もないし。零亜いないし。沖縄パーティに着ていくドレスでも選ぼうかなぁ?
なんて思ってたら、電話がかかってきた。
【from 楽】
うん。楽で登録してるのは、TRIGGERの楽しかいない。どうしたのかな?
『もしもし、楽?』
〈よぉ、A。お前、今から暇か?〉
『え、うん。えと、どしたの?』
〈お前ん家、行ってもいい?腹減ったから。〉
え!?『ちょっと待って!何も私のじゃなくても!楽なら、すごい高くて美味しいとこ行けるでしょう!?』我ながらテンパってる。
〈そういうとこ、疲れるんだよ。飯ぐらいは、のんびり食いたい。〉確かに。私も仕事でたまに行くけど、あそこは‘私’じゃなくて、‘FSCの逢坂’を見てるから。なんて思って、なんだか足元がぐらつくような感じを覚えていると、私の名前が呼ばれた。
〈A。俺は別に、豪華なものが食いたい訳じゃない。お前が、逢坂Aが作った飯が一番美味いから食いたいんだよ。メニューはなんだっていい。俺はただ、お前と一緒に飯食って、くだらない話して、バカみてぇに笑って過ごすだけで、世界一幸せだから、な?〉
・・・これを断れる女性はいないと思う。
冷蔵庫を開けると、パスタにベーコン、チーズ類があった。あと、ワインが何本か。私、未成年なのにね。
『分かった。ねぇ、楽。好きなワイン、何?』
〈マジか!ん、ワイン?特にこだわりはねぇよ。甘すぎんのはやだけど。あと、サンキューな。すげぇうれしい・・・〉
最後の声が本当に安心してる感じ。甘いのはない、はず。
『こちらこそありがと。今日、零亜が親の手伝い行ってるから』
〈お前は礼言わなくていい。俺のワガママなんだから。そっか、んじゃ、ちょっと飛ばす。なぁ、一人でドライブって、すごい暇なんだ。
なんか、話してくれないか〉
楽。そのさりげない気遣いに、夢を見させてもらってもいいですか?
『うん。あのね、今日はね・・
楽side
収録終わって、今日は深夜の仕事もない。仕事で天も龍も家にいない。大丈夫だ、と思っても、ふと、不安がよぎる。何故だか、初めて会ったときの寂しそうな眼をしたAの顔が浮かんできて、会いたくてたまらない。
我にかえると、あいつに電話をかけていた。
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作者名:アスト | 作者ホームページ:http://id11.fm-p.jp/545/05251357/
作成日時:2016年9月27日 18時